敷地をお散歩してお腹がいい具合に減ったので、今日のお目当て、ロマン・メデーの料理を食べに行こう。
ロマンは、ADPA(アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ)のシェフを務めていた超腕利シェフ。野菜やシリアルを中心に、ナチュラルを追求していた彼の料理が大好きだった。
ADPAがなくなった後、ロマンは去年春からここのシェフに。とは言え、今もムッシュデュカスと大の仲良しで、一緒に色々活動してる。
果樹園を臨むレストラン”レ・シュマン”、ナチュラルテイスト溢れる内装がいい感じ。根菜を花代わりに生けた装飾や押し花の額装が、とってもロマンらしい。
光合成に最適の素晴らしい太陽の光を感じながら、コンブチャで、ロマンに乾杯。
シリアル&ラディッシュから始まり、ウニ入り揚げじゃが、チシャ&ハコベディップ、トピナンブールソルベ、川スズキのブイヨン、発酵ベトラーヴ入りさっくりブリオッシュ&ケチャップと続く一連のアミューズのおいしさに圧倒される。ADPA時代よりも、さらにナチュラルに、かつ肩の力が抜けてより自然の魅力がストレートに溢れ出る感じの味、香り、食感にうっとり。うわぁロマン、すごいなぁ。
ここからようやく、メニュースタート。今食べた極上アミューズたちを超えられるのかしら?
なんて不安は杞憂。
ロマンといえば!の食材、ヒヨコマメに柔らかエスカルゴとカボチャと黒トリュフの、あまりにも好みの味に、スプーンを口に運ぶたびに頭ふりふり。
続く、帆立貝&カリフラワー&帆立貝の紐に胡椒を効かせたソースも感動的。いやもう、この2品とアミューズで、ロマンは再び3つ星でしょう。
こんがり焼いた縮緬キャベツに、キュロワゼル鶏の肝のブーダンとマグロ燻製(ほんとは生牡蠣だけど苦手なので変更)を合わせた一品も、キャベツ最高。肝は、私はなくてもいいかな。
焼き加減完璧なオマールには、スコルソネールという牛蒡系野菜。この根菜が恐ろしくおいしくて、またしても頭をふる。オマールのソース、デュカス系は強い風味のオマルディーヌが定番だけど、とてもまろやかで優しい味わい。コンディモンとして添えた一マスタードがすごくよいアクセントになってる。
ロマン、すっごい!今まで ADPAやイベントで食べてきたロマン料理と比べて、味のまとめ方が全体的に少しフェミニンというか柔らかくなった気がする。
ロマン曰く、”そお?別のADPA常連は、より風味が強くなったと思うって言ってたよ(笑)”。それもわかる、食材一つ一つの風味はますますクリアになったと私も思う。でも同時に、ソースやコンディモンの使い方というか合わせ方がマイルドになったように感じる。
ADPAみたいなプレゼンで3種のフロマージュ。どれもうまっ!そしてこれに合わせたキンと冷たいビールの相性がちょっと驚き。
今日のドリンクは、コンブチャで口の中きれいにした後(この辺も、ADPA的)、シャンパーニュ、シュナン、ポワレ、アルザスピノグリオレンジ、赤(どこのか忘れた、南の方)、ビールと続き、ショコラ&カフェ&レンズ豆のデセールに、シードル・グラッセ(アイスワインの要領で作ったシードル)。最後は、柑橘デセールで口をさっぱりさせて、ごちそうさまでした。ひゃ~、ほんっとおいしかったね~。
敷地のヴェルヴェーヌと金柑、薄いショコラをいただき、ロマンにブラヴォ。
敷地案内してもらいながらおしゃべり。
パリから通ってるそう。私だったら、ここに住んで動物たちに餌やりしながら、週2回パリに通う生活が理想だけれど、この辺りほんとになーんにもなく、若いスタッフ入れるのも大変らしい。でも、広い菜園も手に入れ(ADPA時代は、ヴェルサイユ宮殿敷地内にムッシュデュカスが菜園持っていて、そこの野菜が毎日運ばれてた)いたってご機嫌。”菜園がないと僕はもう生きていけない”って。でしょうね。
あぁ、もう帰りの電車の時間。まだ白ぶち猫さんを抱っこしてないし、雌鳥さんたちを撫でてもいないのに、、、。天国のようなこの場所を離れるの、辛い。今度は宿泊しよう。春にリンゴの花が甘い香りを撒き散らしてグリーンピースが出る頃か、初夏にオールドローズがとろんとした甘い香りを発してイチゴが色づく頃に来られると嬉しいな♪
またね、ロマン。今度来る時は、一緒に野菜収穫できますように。ごちそうさま、最高においしかった!
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々4」2023年2月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々4」をご覧ください。