黒坂岳央です。
昨今、あちこちでマネーにまつわる意見を見かけることがある。「20代から爪の先に火を灯す勢いで節約し、資金余力を米国株にインデックス投資をしてFIREを目指せ」とか「60代からの資産運用はこれがおすすめ」みたいな意見だ。
投資や資産運用については、その人の人生目標とか資金力、マネーリテラシーやリテラシー向上に割けるリソースなどで答えが違うので一概に「絶対にこうするべき」という意見は安易に出せない。ただ1つ「これはどんな人にでも言えるのでは?」と感じる真理に近い提案がある。それは「人生のステージによって、お金を貯めるべき時と、使うべき時がある」ということである。
尚、会社員とインカムゲインだけで生活できる状態の人とでは全然条件が違うため、あくまで最大公約数的に当てはまる話として参考程度に聞いてもらいたいと思う。
お金を使うべきタイミング
まず1つ目は、お金を積極的に使うべきタイミングについてだ。結論、30代前半までの若い時期と60代後半の老後だ。
正直、若い時期の過剰な節約ほど後で後悔することはないと思っている。たとえば1円単位でケチって投資をするとか、遊びにいった時に食事代や体験代をケチるとか、本当はスキルアップで自己投資したいけどもったいないから図書館に置いてある古い本だけで勉強するといったものだ。
特に20代の若い時期は絶対にケチらない方がいいと思っている。若い時期の僅かな小銭をかき集めて投資に回すより、自分の市場価値を高めてくれるビジネススキルに投資をする方が30代、40代以降で間違いなくリターンがデカくなる。
自分自身、20代の頃はほとんど貯蓄などできず、得たお金の99%は使い切ってしまったが本当に良かったと思っている。20代の頃に勉強で使った書籍やスクール代、その他の体験などはすべて何十倍にもなって返ってきている。ケチって質の低い時間を過ごしていたら今の自分はない。若い時期は体験やスキルアップにお金を果敢に投じるべきタイミングだろう。
そして60代後半以降から積極的にリスク資産に投資をするのも良くないのではないかと思う。周囲に70代を超えても尚、果敢にボラティリティの高い小型株の売買をする人物がいたので「危険では?」と伝えたのだが、「大丈夫。いざ高値づかみをしても、待てばどうせ戻るから」と豪語した。
「いやいや、あなたは一体、何歳まで生きるつもりか?」と問いたい。仮に10年塩漬けになればもうそのお金を使う時間は残されていない。自分の周囲の人や、老人医療の専門家の書籍を読むと「年相応の振る舞いができない老人が多い」と感じる。どれだけ気持ちや見た目が若くても、内臓は立派な老人なのは間違いなく平均寿命ではなく健康寿命で考えると、70代以降にお金を使う機会を先送りにしても仕方がないと思えてしまう。
20代の若い時期や60代後半からはお金は必死に貯めたり、投資で積極的にリターンをとりに行くより使うべきタイミングではないかと思っている。
お金を貯めるべきタイミング
その逆にお金を貯めるタイミングはいつか?それは30代中盤以降から、子供が独立するまでの期間ではないだろうか。
自分自身、今保有する資産の99%はここ4〜5年の直近で蓄財したものだ。今後も資産運用や事業投資はしていくが、手を付けない資産の割合は増やしていくと考えている。なぜなら、今資産を増やさなければいけないタイミングだからである。
自分には二人子供がいる。これから多額の巨費が必要になるだろう。海外の学校にいきたいと言われたり、塾で勉強したいと言い出せば即金が必要になる。仮にここで手元にほとんど資産がなければ「ごめん。お金がないから夢は諦めて」となってしまうが、親としては心理的抵抗感がある決断といえるだろう。
さらに老後の生活費も考えなければいけない。自分のように40代の人間が老後を迎える頃、日本がどうなっているかは想像もつかないが、とりあえず生きている前提に立てば万が一にも資産が枯渇したことでドッグフードで飢えを凌ぐ生活になるというわけにはいかない。老後の資産形成は絶対に失敗できないのだ。
仕事はお金のためではなく楽しい趣味としての位置づけなので今のところ、死ぬまで働くつもりだし資産運用も継続するがそれでも資産形成は絶対的に必要になる。別荘や高価な絵画を買う、みたいな気にはなれない。
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人生とお金は切っても切り離すことができない関係だ。使うべき時にあくせく貯金し続けて、死ぬ直前に自分の人生史上、一番のお金持ちになることは何の意味もないし、お金をためて老後や子供の教育に活用するべきタイミングで手元に何も残っていなければ選択肢は絞られてしまう。お金はタイミングが重要なのだ。
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