経営危機が伝えられていたスイスの大手銀行クレディ・スイスは、同じスイスの銀行UBSが30億スイスフラン(4300億円)で買収することで合意しました。
UBSがクレディ・スイス買収、危機収束へ歴史的結合https://t.co/IO8PpkFS8S
— ブルームバーグニュース (@BloombergJapan) March 19, 2023
ここで話題になったのは、買収されたクレディ・スイスの株式の一部はUBSの株式と交換されたものの、160億フラン(2.2兆円)のAT1債とよばれる劣後債がパーになったことです。
クレディ・スイス、2.2兆円分のAT1債が無価値にhttps://t.co/LqWcRRK0u3
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) March 20, 2023
AT1債って何でしょうか。ChatGPTに聞いてみました。
AT1債(Additional Tier 1 bond)は、銀行などの金融機関が資本増強のために発行する債券の一種で、Tier 1資本の一部として扱われます。Tier 1資本は、金融機関の財務安定性に重要な役割を果たす最上位の資本です。
AT1債は、通常、無期限または長期間の債券であり、イールド(利回り)が比較的高く、株式と似たようなリスクとリターンがあります。AT1債の最も重要な特徴は、発行者が金融的に悪化した場合に、利息の支払いが中断される可能性がある点です。
これは、AT1債が優先株式のようなハイブリッド証券であり、発行者が特定の財務基準を下回る場合に償還または無価値化されることがあるためです。AT1債は、銀行が金融危機に陥った場合に、株主やその他の債権者が損失を負う前に、最初に損失を負うことになります。
AT1債は金融危機のとき「税金を投入するな」という騒ぎが起こって救済が遅れるのを防ぐために、債権者に損失を負担させる制度ですが、借金は株式より優先して返してもらえるという常識に反する債券です。
クレディスイス買収の件ですが、株式に優先されるはずのAT1債が全減損され、劣後するはずの株式が(損失を被ったものの)UBS株に姿を変えバリューを保っています。
社債ホルダーからも「理解できない」と不満が出ているようです。
ベイルイン時にはこれが普通なんでしょうか。。。
勉強不足ですm(_ _)m— Yuto Haga 芳賀 勇人 (@Yuto_gahagaha) March 19, 2023
クレディスイスのAT1債、2兆円以上紙屑になったのか。こわー。しかし買収で救済決まって、これで欧州やアメリカの危機はひとまずしのげるんだろうか。日本にもまた大波こないといいけどなあ・・
— 末次徹朗(又の名をおでんスキー) (@tetsurosuetsugu) March 20, 2023
これは制度設計で予定されていたことなので、機関投資家は知っているでしょうが、一般投資家は知らないと思います。
クレディスイスをUBSが32.3億ドルで買収💥
政府からも資金注入今回の措置では本来返済順位が比較的高いはずの
AT1債(永久劣後債・CoCo債)が損を被ることになります
しかし、一番返済順位の低い株式は
UBS株との交換で生き延びる形に😱ある種株・債券の概念を覆すような話ですね💦
💦#米国株 pic.twitter.com/5EQWrn6FVH— みみる@米国株投資🇺🇸CFP®︎認定者 (@mimiru_usstock) March 19, 2023
AT1債は色々問題あんですけど、クレディスイスの例で言えば当初予定されていた使われ方であり、むしろ今その機能が適用されないとすればいつするんですかね。それとも債権者はリスクなく税金で救済しろとでも言うんですかね。https://t.co/HkEsfOxw2R
— 魏徴 (@GICHOGI) March 20, 2023
日銀がYCCで金利リスクをすべてかぶっている日本は安泰です。
CS救済合併の後もなお:日本国債の利回りが低下https://t.co/xyIbJMJX1x
①CS処理では「AT1債」が全額切り捨て。世界の劣後債市場に衝撃、資金は国債に「let's go」の様相。
②欧米出羽守、日本尾張守の掛け声をよそに、米銀破綻が相次ぎ、スイス大手行は政府支援で「bail in & bail out」。 pic.twitter.com/jvokt1wnxN— 滝田洋一(日本経済新聞) (@yoichitakita) March 20, 2023
目先のリスクだけ考えると、長期金利の上限を0.5%に固定した黒田日銀は賢かったともいえますが、おかげで日本の債券市場にはリスク配分の機能がなくなり、退場すべき企業も退場しなくなってしまいました。