なぜ小西氏は国民が理解しにくい行政文書でかき回し工作をしたのか?

まずはWBC、日本優勝やったぜー、ですね。何かに「マンガ以上の展開だった」とありましたが、私もそう思います。こんな出来すぎの筋書きがあるんでしょうかね?メキシコ戦の村上の逆転打は高校野球に通じるものがあり感動、アメリカ戦の最後、大谷とトラウトとの一騎打ちは「巨人の星」でも出てこないようなシーンでした。チームの輪は選手たちだけではなく、日本中を一丸とさせ歓喜の渦に巻き込んだ素晴らしい歴史となりました。ほんと、明るいニュースでよかったです。

では今週のつぶやきをお送りします。

まだ去らない金融危機

先週、私は「市場参加者がひどく疑心暗鬼に陥っている」(3月18日)とし、「今の金融界を見る限り私はまだまだFragile (壊れやすい)ので『扱い要注意』」(3月20日)と述べました。また欧州の銀行が多く発行しているAT1債の問題についても指摘しました。「ヤバそうな銀行探し」はクレディの後も続き、金曜日の欧州市場では金融株が大荒れとなりました。その中心はドイツ銀行でしたが、欧州大陸の銀行株は2けた%の下落をしたところが続出です。アメリカもイエレン長官の銀行預金の保護発言で揺れています。SVBの破綻は同行の特殊要因だとする論調は多いのですが、むしろそこにフックがあったとみるべきです。

フック、つまり「引っかかり」ですので理由は何でもよく、「ヤバいか、ヤバくないか」一点勝負なのです。だからクレディもフックがあったとみるのが正しいでしょう。この背景は中央銀行の金融政策に対する不満と一部のヘッジファンドなどの焚き付け、それに乗るその他集団という構図ではないかと感じます。なので今はどんな専門家がどれだけ詳しい資料を基にさもありなんと解説してもほぼ意味がないし、その分析が間違っているとは言いませんが、むしろ取り巻く大枠の環境を捉えないと読み間違えると思います。

こんな状況ですので安全資産に目が行くわけで金も一時2000㌦を回復しましたが、久々に「安全通貨の日本円」という声も聞かれ、週末は一時130円を切るところまで来ました。円高は日本の株価には厳しく、この一週間、東京市場は死んだようなつまらなさでしたが更に引っ張りそうです。来週は期末配当取りを控え、毎年、桜のように咲くメガバンクセクターが散々というのも厳しいところです。年初にあった23年度の日経平均の専門家の予想は多くが3万円越えだったのですが、私は27000円前後ではないか、と異端児のような予想をしていました。まだ、1/4を過ぎただけですがこんな予想は外れて欲しい、と願っています。

ぬぐえない対中国情報漏洩疑惑

TikTokの周受資CEOがアメリカの下院エネルギー商業委員会で議会証言に臨みました。結果は「中国政府への情報漏洩の疑惑を晴らすことが出来ず」でした。周氏は同社がアメリカの会社であることを強く主張するものの議員からは「じゃあ、どうして情報が中国当局に漏れたのか?」に対して「自分たちからは漏らしていない」に留めたため、踏み込みが足りないと判断されました。メディアは明白なトーンであたかも米中戦争で「中国、破れる!」と言わんばかりの報道でした。不思議とこのニュース、日本では控えめだと思います。

実はカナダでも中国問題は燃え盛っています。連邦議会の与党に属する中国系カナダ人の議員が以前中国で拘束されていた2人のカナダ人のマイケル事件に関し、中国側に情報を漏洩していたのではないか、という疑惑です。同議員は在カナダ中国総領事には会ったと認めたものの漏洩については否定する中、与党を離脱してしまいました。与党には痛手でしょう。また、中国が設置する国外のポリス(警察署)についてもカナダでいくつも見つかっており、カナダ政府は中国に対して強い抗議をしています。特にカナダの場合、トルドー首相が習近平氏から以前、公衆の面前で叱咤されたこともあり、感情的になっている部分もありそうです。

対中疑惑は正直、奥が深すぎて判断しにくいところです。特にSNSを使った場合は個人情報はほぼ筒抜けであることはその世界の方はよくご存じなはずです。メタのザッカーバーグ氏も何度も議会に呼ばれていましたが彼の回答も議員を満足させることは一度もなかったと思います。多分、会社のポリシーというよりSNSのシステム構造上、情報シェアが基本設計とした方がいいのでしょう。カナダの問題も結局情報の話だし、気球の問題も同じです。日本では国内の対中問題があまり話題にならないのは鷹揚だから、それとも忖度なのでしょうか?

逃げ切れても、逃げ切れなくても…

1983年に単身でポーランドから列車でソ連に入った私には尾行がついていました。そういう時代のそういう世界なので当たり前だし、多少の予備知識はあったので気にしていませんでした。日本は尾行はせいぜい興信所ぐらいで普通は無縁ですが、アラブの国ならあっておかしくないでしょう。ガーシー氏は引っ越しの準備が出来た、と言っています。パスポートが切れる前に日本政府がやりにくい国にトンずらするのだと思います。個人的には困難かと思います。それはアラブの世界の日本人などすぐわかるし、彼の面が割れすぎています。それに彼にそんな大胆不敵な行動は出来ないでしょう。案外小心者だとみています。

彼は日本の警察を怒らせてしまったのです。彼らは威信をかけて捕まえるでしょう。仮に捕まった場合、厳しい判断が下されるとみています。何故なら検察も裁判官も人間なので最大限の戒め的判断が行われやすいからです。同じ土壌にのせてはいけないのですが、逃げ切れそうなのが高市早苗氏。正直、立憲の小西氏はむしろ郵政省の暗部に光を当てて自爆したような気がします。多くの国民は「合併した組織の問題は銀行だけじゃないんだ、総務省もそうなんだ」と興味深く見ていたことでしょう。

ただ、高市氏はその狭間に立たされ、つらい答弁に終始したように見えます。なぜ小西氏は国民が理解しにくい行政文書でかき回し工作をしたのでしょうか?一説には統一地方選での奈良県知事選と大分の補欠選が視野にあるのでは、とされます。高市氏が応援する旧自治省の方が候補に立っているからです。郵政出身の小西氏はそれを潰しにかかっているというストーリーは後付けのような気もしないではないですが、どういう結果にしろ、とばっちりを受けた高市氏もさえないことになりそうです。

小西議員 立憲民主党HPより

後記
京都で全国初の空き家税導入が話題になっているようですが、ここカナダは空き家税に外国人所有の不動産の監視と厳しさを増しています。しかも市役所が空き家を、州政府が所有形態を、更には今年から連邦政府が外国人所有の不動産について申告義務を課し、どれも期限内にしなければ厳しいペナルティが課せられます。外国人で投資目的の人は戦々恐々。一方このしびれるほど厳しい規制のためか、今迄電気がつかなかった高級コンドミニアムの窓に生気が感じられるのは素晴らしいことです。京都の政策は正しいと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年3月25日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。