墜落の原因
6日に沖縄県・宮古島周辺で陸上自衛隊の隊員10人が乗ったヘリコプターが消息を絶った後、機体破片等の発見により墜落が決定的になり探索が続いている。乗員のご無事を心より祈りたい。
墜落の原因究明も順次行われて行くと思われるが、大別すると現時点で次の3つが原因として挙がっている。
- 何らかの事故:操縦ミス、整備不良、異常気象等によるものが考えられる。
- 中国軍による撃墜等:中国海軍艦が近辺を遊弋していたため蓋然性が高いとも言われる。
- 在日米軍による撃墜等:救難信号発信や緊急の通報も確認されておらず、こうした憶測の余地も生んでしまっている。
筆者には元よりこれらを判別する専門的知見はないが、まだ情報が揃っていない上に、デリケートなケースだけに現時点では上記C.のみならずB.も所謂「陰謀論」に分類されてしまいかねない懸念がある。
なお本稿の目的は、陸自ヘリ墜落自体を論じるのではなく所謂「陰謀論」についての論点整理をするのが目的である。
因みに、ウィキペディア(日本語版)では、「陰謀論」の項目で次のように記されている。
「陰謀論(いんぼうろん、英: conspiracy theory)とは、なんらかの有名な出来事や状況に関する説明で、根拠の有無にかかわらず「邪悪で強力な集団(組織)による陰謀が関与している」と断定したり信じたりしようとするものである。この言葉は、偏見や不十分な証拠に基づいて陰謀の存在を訴えているという、否定的な意味合いを持って使われることが多い。」
「ランス・デヘイブン=スミスによると、ウォーレン委員会(筆者注:ケネディ大統領暗殺事件の検証のため設置)が調査結果を発表し、ニューヨーク・タイムズ紙が陰謀論という用語を含む記事を5つ掲載した1964年以降、この用語は米国内で日常的に使用されるようになったという。」
「陰謀仮説」と4つの必要条件
上記のように、ウィキペディアは、ある陰謀を「断定したり信じたりしようとする」ものを「陰謀論(conspiracy theory)」と呼んでおり、これによれば「断定したり信じたりしようとする」のを避けて純粋に陰謀の可能性を論じるものについては、陰謀論ではない事になる。
筆者は更に踏み込んで、そうしたものを「陰謀仮説(conspiracy hypothesis)」等と積極的に位置付けて許容した上で議論して行くのが、言論空間を広げる事に繋がると思う。
この「陰謀仮説(conspiracy hypothesis)」は筆者の造語だが、TheoryもHypothesisも、英語圏では殆ど意味が変わらぬのかも知れない。しかし概念の差別化には便利ではある。
なお筆者は、一般に陰謀が成り立つためには、次の4つが必要条件だと考える。
① 動機や目的
② 技術的可能性(事象を起こす技術)
③ 技術的可能性(人為性を隠蔽する技術)
④ 実行組織、資金、協力者
陸自ヘリ墜落を例に取ると、B.中国軍による撃墜等及びC.在日米軍による撃墜等については、何らかの電磁的攻撃を使えば、殆ど痕跡を残さず瞬時にヘリを墜落させる事も可能ではないかと思われる。仮にそうであれば上記④に加え②と③をクリアし、両者について①の動機や目的が問われる事になる。
動機や目的として、B.についてはこの海域での自衛隊への牽制、C.についてはかなり飛躍すれば東アジアでの代理戦争の誘発等も思い付くが、何れも現時点では想像の域を出ない。
所謂「陰謀論」や「フェイク」と言われた中には、CO2地球温暖化懐疑説、新型コロナ武漢研究所流出説、同生物兵器説、コロナワクチン重篤健康被害説、米大統領選大規模不正説等々がある。これらは、レッテル貼りされて即座に切り捨てられてきた傾向がある。
だがこれらのうち、時間の経過とともに様々な状況証拠等が揃い始め、徐々に陰謀論やフェイクから事実に昇格しつつあるものも一部出て来ている。
何れにしても、「陰謀」や「陰謀論」等を十把一絡げにせず、一定の論点整理を基に多面的に対象にアプローチする事は、今後の諸事象についての真相解明に必要と思われる。