新型コロナワクチン3回接種後の医療従事者の年間死亡率は? --- 大里 忍

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昨今コロナワクチン接種後の被害が取り上げられるようになってきているが、実際の被害の大きさについては評価が不十分な状況である。今回、首相官邸のホームページ「新型コロナワクチンについて」とデジタル庁のワクチン接種記録(VRS)が発表しているデータをもとにコロナワクチン3回接種後の医療従事者の死亡率を求め、統計学的に検討したので寄稿する。

国はCOVID-19 コロナワクチン3回目の接種を医療従事者に令和3年の12月に優先接種を行う方針とした。NHKの報道では約104万人の医療従事者が先行接種を行うとなっており、首相官邸の発表では1,037,377人が、デジタル庁のVRSオープンデータでは1,037,330人が3回目の接種を令和3年12月中に行っており一致する。

次に首相官邸のホームページの「新型コロナワクチンについて」において、「都道府県別等の実績」というexcelの表を閲覧できる。

このデータの下部には注意書きとして「『除外する回数』は、死亡した方の、接種日が令和3年中の接種回数」との記載が有る。令和3年中に3回目の接種を行ったのは医療従事者だけであるため、3回目接種者の「除外する回数」はすなわち「令和3年中に3回目の先行接種を行った医療従事者の死亡数」と同義となる。この発見がSNSに投稿され、筆者も知るところとなった。

この「除外する回数」は日々更新されているが、各月ごとに保存していたデータをもとに令和3年中に3回目のワクチン接種を行った医療従事者の死亡数の推移と累積死亡数をグラフにした(図1)。

図1 3回接種した医療従事者の月別死亡数と累積死亡数

接種翌月の令和4年1月の死亡数は1,325人と多く、その後もなだらかに増加してゆき、令和5年3月22日現在、6,075人に達した。これらの医療従事者の死亡原因は不明であり、コロナワクチン接種が死亡の直接の原因とは言い難いが、他の月に比べて接種開始翌月の死亡数が異常に多く、関連性は否定できない。

令和5年3月22日現在でコロナワクチン3回先行接種した医療従事者の死亡率について計算してみる。図1のデータでは約15か月間の「コロナワクチン3回接種後の医療従事者の死亡数」は6,075人、令和3年12月に接種した人数は1,037,330人(表1)、約15か月の観察期間における死亡率は6,075人÷1,037,330人で0.59%となり、1年間に換算すると0.47%、213名に1人が死亡した結果となった。

表1 令和3年12月にコロナワクチンを先行接種した医療従事者の人数

これだけでも筆者には医療現場で労働している群としては高い死亡率と感じるのだが、ワクチン接種の影響が有るのかどうか判断が難しい。

そこで3回接種後の医療従事者の死亡率がSARS-COV-2出現前のそれと比較して有意に増加したかどうか、統計学的に検討を試みた。方法として標準化死亡比(Standardized Mortality Rate SMR)とその信頼区間を求めた(詳細な標準化死亡比に関する記載はSupplementary materialに別記とした)。

標準化死亡比(SMR)は、3回目先行接種をした医療従事者の実死亡数(1年間当たり)4,860人/予想死亡数2,882人から1.69となった。すなわち、3回目先行接種後に死亡した医療従事者の人数はSARS-COV-2出現前の一般人口よりも1.69倍多いと考えられた。

この「1.69倍」が有意に高いと言えるのか、信頼区間(95%、99%)を求めた。結果、標準化死亡比の95%信頼区間は1.64-1.73、99%信頼区間は1.62-1.75で、99%の確率をもって3回目ワクチンを先行接種した医療従事者の死亡率はSARS-COV-2出現前の一般人口より高いと考えられた。

以下、考察である。

接種翌月の令和4年1月の死亡者数が多いが、令和5年1月の死亡者数は少なく季節による死亡者数の増加では説明が困難である(図1)。コロナワクチン接種の影響であると考えるのが妥当であろう。

一方で4回目、5回目のブースター接種を行った医療従事者は多いと思われるが、その後の急激な死亡者数の増加は見られない。これはmRNAワクチンが治験薬であり、中身の詳細な情報は開示されておらず成分の変更が可能であり、毒性を低くした可能性が考えられる。

なお、医療従事者の先行接種はCOVID-19診療を行っている病院等が優先され、非常に高い接種率であり、医療従事者の中でも高齢者や基礎疾患を持つ人が特に優先的に接種を受けたといった集団としての偏りの入る余地はない状況だった。その後も順次医療従事者の接種は進められる予定となっており、令和4年1月から3月にかけて先のNHKの報道では472万人が接種予定となっていた。

今回の論考にはリミテーションがあり、その一つに「除外する数」の詳細が解らない事が挙げられる。死亡原因、性別、年齢が不明であるため推計を行う必要があった。また、医療従事者におけるCOVID-19感染の影響については、死因が特定できないため議論が困難である。

そのため医療従事者で一般人口よりも1.69倍死亡率が高かった結果についてCOVID-19による感染症死の影響であるといった主張をする人がいるかもしれないが、それならばコロナワクチンがCOVID-19による死亡数を減らすことが出来ないという話になる。

これらの情報のリミテーションは大きな問題である。政府および厚労省は我々が入手できない情報を既に持ち、詳細なワクチン接種の影響について把握しているはずである。実際、福島雅典・京都大学名誉教授がコロナワクチンの全有害事象等の開示を求める行政訴訟をこの1月に提訴したが、それに対し、厚労省は令和5年4月3日に一部のデータを開示し、全データの開示は2026年度末までに段階的に検討すると回答した

ワクチン接種後のリアルワールドデータの開示も十分に行わないまま、やみくもに接種を続けることは国民の健康を守るという観点から不適切な対応と言わざるを得ない。政府および厚労省にはコロナワクチンの接種を一時的にでも全面中止し、情報開示及び情報の解析を行い、医療者のみならず国民の健康を守るという職務を全うして頂きたい。

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大里 忍
勤務医。小児科指導医、勤務医として働く中でmRNAワクチンについて学びその危険性に気が付き、将来のある小児へのmRNAワクチン接種に反対している。