ちょずき始めた「晴海フラッグ転売ヤー」

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転売が懸念されていた晴海フラッグですが、続々と売り物件が掲載されているようです。

マンションマニアの知り合いに送ってもらった情報は、シービレッジと呼ばれる初期の販売棟の売り情報です。

4LDKの100.15平米の9階の物件が、1億6700万円と坪単価551万円です。この物件は分譲時の価格は8870万円(坪単価292万円)ですから、もしこの価格で成約すれば、数年で8000万円近くの転売益が稼げたことになります。

この物件以外にも72平米で1億800万円、61平米で9,100万円など、強気の価格設定が並んでいます。

これらの価格は売り手が勝手に設定した希望価格で、恐らく更に売り物が増えていくことによって、成約価格は下がっていくと予想します。

物件によって変わってきますが、それでもシービレッジであれば、坪単価450~500万円くらいにはなりそうです。

SNS上の投稿を見ていると、抽選に当たって購入する人たちの隠しきれない喜びと、当たらなかった人たちの嫉妬の感情が、大きなあつれきを生み出していることを実感します。

そもそもの販売価格が割安すぎるミスプライスだったのであれば、せめて実需の購入だけに限定して、転売禁止期間を設けるといった購入制限対策を取るべきだったと思います。

調子に乗っている人のことを、今どきは「ちょずいている」というらしいですが、ちょずいた「晴海フラッグ転売ヤー」がこれからメディアで話題になりそうです。

かくいう私も、ここまで価格が上がってくると、購入物件の1つを賃貸ではなく転売してしまおうかと考え始めました。

不動産取引がマネーゲームのように人の心を狂わせる経験は、1980年代後半の昭和バブル以来久しぶりの感覚です。

今回は昭和バブルのような結末にならないことを祈っています。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年4月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。