人生を幸せにする「3つの余裕」

黒坂岳央です。

「余裕がある人が好き」といわれる。主に女性が好みの男性に対する文脈で使われるが、これは男性が女性に対して、男性が男性に対しても言える言葉だと思っている。誰しも感情的でヒステリックな相手より、余裕のある相手を好むと考えることができる。もちろん、筆者も同じだ。

ところがこの「余裕」という言葉はどこかとらえどころがなく、経済的余裕がある人でも他人に狭量だったり、時間にケチすぎると敬遠される。一体、「余裕」の正体とはなにか?結論、この余裕は3つにわけることができる。そしてそれが人生を幸せにしてくれると思うのだ。

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3つの余裕とはなにか?

ビジネス書やコラムなどでよく取り上げられる共通語としての余裕は

・経済的余裕
・時間的余裕
・精神的余裕

である。面白いことにこの余裕はすべてが同じレイヤーにあるわけではなく、下位の余裕を満たすことで、上位へ移動することができる。賛否分かれるかもしれないが、筆者は時間的余裕が最初に来ると考える。ここから体験談を話したい。

一時期、ものすごく忙しい企業で働いていた。繁忙期は近くのビジネスホテルに宿泊し、そこから出勤して働くこともあった。時にはその移動や宿泊申請の手続きが面倒に感じて、会議室に椅子を並べて眠った経験もある。そして時間の余裕もなかったがお金の余裕もまったくなかった。

昨今は副業や投資ブームだが、当時は忙しすぎて祝日は一週間分の食材の買い込みや料理を作り置きして冷凍するなどの作業に追われて、休みの日に自分がやりたいことはあまり出来なかった。つまるところ、経済的余裕を作るためにはまず、時間という資源を獲得する必要があるのだ。

その後、東証一部上場企業へ転職をしたことで、時間的な余裕ができた。この会社は休日出勤をしてもちゃんと代休を取らせてくれるし、繁忙期以外は定時退社が出来た。それまでの待遇とは全然違うことに驚きつつ、しばらく普通に働いていたがそうなると、今度は逆にヒマを持て余すようになった。そこでこの空き時間を有効活用したいと考えて、最後に行き着いたのが平日は会社で働き就業時間外や祝日に自分のビジネスに挑戦する週末起業である。その後は専業になった。

この経験からもまずは時間の余裕を得ることで、新しいビジネスなどへのチャレンジやスキル向上で年収アップを実現させるなど、その次に経済的余裕が生まれる。時間的余裕と経済的余裕を満たすことで最後に精神的余裕を獲得できる。

人生には精神的余裕が必要

筆者もまだまだ出来ていないことは数多くあるので、人様にえらそうなことは全く言える立場ではないが、それでも昔に比べて精神的にはかなりの余裕を持つことが出来たと思う。結果、QOLはかなり高まったと感じる。

ここからは精神的余裕には、時間と経済的余裕が必要だという事例を紹介したい。自分のビジネスで食べていく経営者やフリーランスなら誰しも経験があると思うが、駆け出しの頃は取引先の数が少ないのでどうしても相手の一挙手一投足に精神的負担を感じてしまうことは少なくない。「もしも今買ってくれているあのお客様の仕事がなくなってしまったら…」と。今は売れていても、数少ない取引先がなくなった瞬間から経済的余裕が消えると思うと不安はずっとつきまとう。結果、QOLは下がってしまう。

知人のIT関係のフリーランスはクライアントからの電話連絡が気になりすぎるあまり、街を歩いていても人と会っていても常にスマホを握りしめるクセがあり、ブルブルと振動したらツーコール以内に出てすぐ対応するといっていた。遊園地デートでジェットコースターにのっている時もスマホが振動した気がして、全然楽しめないとも。これは辛いし、本来は楽しいはずの余暇時間も楽しさを感じることができないのではないだろうか。

しかし、ビジネスがある程度軌道に乗ってきて取引先の数も増えてくれば、気持ちの余裕も生まれる。目の前のお客様一人を逃すと今月の生活が困窮するということだと相手の迷惑を考えないハードセールスをしてしまう人も、余裕が生まれれば「こちらからは無理な押し売りはしないので、もしも気が向いたらどうぞ」という控えめな姿勢になる。

その余裕ある姿勢に、これまで押し売りばかり受けて嫌気していたお客様も「必死な売り込みがない点が印象がよかった」と買ってくれるケースもあるはずだ。ビジネスを販売する側も不快な売り込みをする必要がないので、お互いWin-Winの関係を構築できるだろう。

人生を楽しみ、幸せに生きるためには余裕が必要だ。その源泉は3つの余裕によるものである。よく「他人に優しくしよう」と言われるが、個人的にはまず自分自身を幸せにしてその余剰の優しさを他人に向けられると思っている。人に優しくするためにも、3つの余裕を大事にしたいものだ。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。