起業に必要なのは「戦略」よりも「ミッション」

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2013年の資産デザイン研究所の創業時からビジネスでお付き合いのある長友さん(画像をブログでみる)。この度、富裕層マーケティングの書籍を出版されるということで、資産デザイン研究所のビジネスモデルについてインタビューを受けました。

インタビューでもされなければ、10年間の仕事の変遷を自分自身で振り返ることはありませんから、とても貴重な機会になりました。

再認識したのは、自分の現在に至るまでの仕事の変遷が極めて特殊であるということです。

創業当初は日本の個人投資家の外貨資産の運用機会を増やすことを目的に海外不動産を中心としたビジネスを想定していました。まずは自らが投資ということで、アメリカ、マレーシア、カンボジアに不動産を購入。またスタディツアーを企画しましたが、思ったように事業は育ちませんでした。

また、海外投資について教えることのできる講師の養成を目指し一般社団法人海外資産運用教育協会を立ち上げましたが、これも順調だったとは言えない状態でした。

転機は2015年に、現在は琉球アスティーダの代表として活躍する早川周作さんから国内不動産の販売会社を紹介してもらったことです。私自身の投資もお金を借りて投資できる国内不動産投資に傾倒していきました。「借金=悪」という呪縛から解脱し「変節」することで、10億円まで借り入れを膨らませました。

その結果、年2回開催している「世界の資産運用フェア」では、より広い投資対象を個人投資家に紹介できるようになって規模が拡大。講師育成目的で始めた一般社団法人の講座は、個人投資家コミュニティ「資産設計実践会」に変わっていき、今では約160人のメンバーが参加するまでになりました。

更にそこから、現代アート、ワイン、ウイスキー、アンティークコイン、トレーディングカード、アンティークロレックスといった実物資産への投資も拡大していきました。

このように10年間で事業内容は大きく変わりましたが、仕事の基本となる考え方は全く変わっていません。

事業のミッションは「日本人のお金との付き合い方を変える」ことです。

そして、常に「価値>価格」を意識し、価格以上の価値が提供できないビジネスは存在価値が無いと考えて潔く撤退する方針を貫いています。そのためには、他にはないオンリーワンの価値を作ることが必須だと認識しています。

体系的な戦略もなく、結果的に作られていったビジネスが、長友さんの新刊にどのような形で紹介されるのでしょうか?完成が今から楽しみです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年5月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。