日本人は「劣化した」のか?

新宿と中野新橋で民泊施設を運営していますが、どちらも今年に入ってから稼働率は絶好調です。その理由は言うまでもなく、外国人の来日が増えてインバウンド需要が高まったことです(写真は中野新橋の民泊物件)。

昨年までのこれらの民泊施設は、日本人の利用が圧倒的でした。

日本人の利用は、宿泊よりも室内でのパーティー利用がほとんどでした。買出しにいって食べ物やドリンクを持ちこむホームパーティーです。飲食店に行くよりも費用を安く抑えることができ、時間制限もありません。また他のお客さんと一緒になることもありませんから、コロナ感染リスクも低いという訳です。

しかし、そのマナーは必ずしも良いとは言えません。清掃担当の人たちによれば、退室後の室内は、食べ物のゴミやドリンクの空き缶が散乱。長時間の滞在で泥酔する人も多いせいか、部屋の汚れがひどかったり、水回りが激しく汚れていることも珍しくありません。

さらに、室内で興奮して暴れる人もいるようで、備品のソファの脚が折れたりすることもありました。家具が破壊されるというのは、通常の利用では考えられない事態です。

利用料金は人数によって変わってくるのですが、過小申告したことが発覚する悪質な利用者もいます。追加で料金の支払いを請求することになります。

一方の海外からの宿泊客は長期滞在が多く、宿泊が目的なので退室後の部屋は比較的清潔です。注意事項をしっかり説明すれば近隣とのトラブルもほとんどなく、安心して貸出しができます。

今までは外国人というと、部屋を汚す、備品を勝手に持ち帰る、夜通しパーティで近隣に迷惑かける、といった悪いイメージだったと思いますが、今や真逆な感じになっています。

民泊だけではなく、通常の住居の賃貸でも同じです。

私が賃貸している物件には中国やベトナムから来ている外国人も多数入居していますが、日本人と比べトラブルが多いといった話は聞きません。

こちらも外国人に対するネガティブなイメージはありません。

綺麗好きで、部屋を丁寧に使う、礼儀正しい日本人というステレオタイプなイメージは民泊ビジネスをしていて随分変わりました。

日本人は劣化しているのでしょうか? それとも、これは一部の特殊な日本人だけの話なのでしょうか?


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年5月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。