公明党は、衆院選挙区定数の「10増10減」で新設される東京28区からの候補者擁立を決め、自民党に候補を立てないように要請していたが、自民党がこれを拒否したために、次期総選挙での東京都下のすべての選挙区で自民党候補の推薦を見送る方針を固めた。
また、都議会や都議会議員選挙での協力のストップするという。
公明側は、自民は当初、28区の候補はいないと説明したので、候補擁立を決定したが、後になって自民が別の候補を立ててきたのだという。そこで、事実上の空白区となっている東京12区、15区を譲る案も提示したが、話がまとまらなかった。
このことについて自民党の保守派の一部には、「これで公明党の顔色を見なくてよい」とかいう声もあるが、そんな単純な話ではない。というのは、これまでのように、どこの選挙区でも公明党に標準的な協力をしていればよかったのが、個別に対応をさじ加減されるのだから、これまで以上に自民党の候補者は公明党の顔色を見ざるを得ないことになる。
自民党に全面協力しないと言っても、どの程度、自民党候補に投票し、どの程度野党に回ることを容認するのか、棄権はしないのか、等いくらでもやりようがあるからだ。
そのあたりは、拙著「日本の政治「解体新書」: 世襲・反日・宗教・利権、与野党のアキレス腱」(小学館新書)でも詳しく書いてある。
しかし、自民党の公明党への強気は、岸田首相や茂木幹事長が憲法改正をやる気がないということともとれる。
公明党との強力な協力がないと、たとえば維新の協力を得ても、参議院での3分の2は、少なくともニ度ないし三度の参議院選挙がないととれないし、国民投票では公明党の積極的な協力がなければ間違いなく負ける。
たとえば、公明党支持者に憲法改正の是非を拘束なしに聞いたら、7割くらいは反対なのだと思う。しかし、党や創価学会が本気で賛成を呼びかけたら6割くらいは賛成するのだろう。差し引きだからこの差は勝敗の帰趨を決するほど大きい。
しかし、憲法改正あきらめるなら、政局運営ができないとかいうほどのことではない。自民党は憲法改正したいが為にこれまでもリベラルな政策をとらざるを得なかったことがしばしばあったが、憲法改正諦めるなら、立場は強いのかもしれない。
しかし、憲法改正あきらめるなら、政局運営ができないとかいうほどのことではない。自民党は憲法改正したいのでこれまでもリベラルな政策をとらざるを得なかったことがしばしばあったが、憲法改正諦めるなら、立場は強いのかもしれない。
だが、自民党の保守派も国家のあり方の基本にかかわる憲法改正とか皇位継承問題などでなく、LGBTだとか、MMT理論に基づく突飛な経済政策だとか、欧米に付和雷同のウクライナ支援といったところに関心が移ってしまったのだろうか。そういう意味では、まことに、安倍ロスは深刻だ。
自民党の保守派も憲法改正とか皇位継承問題などでなく、LGBTだとか、MMT理論に基づく突飛な経済政策とか、ウクライナ支援といったところに関心が移ってしまったのだろうか。そういう意味では、まことに、安倍ロスは深刻だ。
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