「こちらの商品は『指定価格』対象となります」
こんなPOPがついたパナソニック製品を、
指定価格とは、販売価格をパナソニック(パナソニック株式会社)
パナソニックの目的は、値下げを防ぐとともに、
家電は、販売開始から終了までの間に2割程度価格が下がる。
指定価格導入により、小売は在庫リスクから脱却できる。
本当にそうだろうか? まず、パナソニックの利益状況からみてみよう。
メーカーの利益率は悪化傾向
パナソニックが指定価格制度を導入してから3年。
だが、日経の取材で「最近の成果」
回答を控える。
と、言葉を濁した。無理もない。数値上、
制度導入以降のパナソニック家電(くらし事業セグメント)
2021年3月期:4.70%
2022年3月期:3.11%
2023年3月期:2.95%
少しずつだが、悪化しているのがわかる。今のところ「
新たな競合の出現
では、小売はどうか。
「値決めは経営」。京セラの稲盛和夫氏の言葉だ。氏は、
その「値決め」の権限を手放し、指定価格に賛同したのが、
今後は「安さ」ではなく、
家電量販店が「安さ」を捨て、定価販売するとどうなるか。 これまで、価格面で不利だった「街のでんきやさん」
「街のでんきやさん」とは
「街のでんきやさん」は、パナソニック系列店の別称だ。
家電量販店の強みである、安さ・品揃え・
オーブンレンジ配達時に、機器を使って一緒に料理を作る「
中には粗利率(売上総利益率)が40%を超える店もある。
20数年前から、家電量販店が進出してきたのをきっかけに「
経営者の山口勉氏は言う。
安い店を回り、
少しでも安く買って満足するような人はうちには来ないし、 うちもそういう人は相手にしません。
これまで、家電量販店の「安値」攻勢に、
メリットのない消費者
では消費者はどうか。
指定価格は、どこで買っても価格が同じ。
「消費者良し」となるかは、
消費者が求めるもの
しばらく前の初夏のこと。
「お宅には、取り付けられないよ」
と言われ、返品する羽目に。部屋の作りが特殊だからだという。
店主に勧められたのは、量販店で買ったのと同じ機種。だが、
消費者が求めるのは、こういった安心感ではないか。故障しない。
【注釈】
※
滅失(めっしつ):なくなること。使い物にならなくなること。
毀損(きそん):こわれること。
瑕疵担保(かしたんぽ)責任:傷物(欠陥品) を売ったり作ったりしたときに負う責任のこと
パナソニック株式会社 中長期戦略 2022年6月2日
【参考】
「えげつない」ヤマダが変身、
パナソニック、家電の価格を販売店に指定…
パナソニック、家電2割で価格指定 取引見直し1年で倍増:日本経済新聞
高齢化進む「街の電器屋さん」 後継者探し支援…パナが担当者1000人(2/2ページ) – 産経ニュース
中村邦夫「幸之助神話」を壊した男 森一夫/著 日本経済新聞社
街の元気屋さん 街を元気にプロジェクト/著 PHP研究所
ニッポンの明かりのような店 街を元気にプロジェクト/著 PHP研究所
パナソニック決算資料 他