エマニュエル駐日米大使に日本政府はなぜ抗議しないのか?

国会で近く成立する見通しとなっている性的少数者の理解増進法案に関し、エマニュエル駐日米大使が東京都内で共同通信の取材に対し「政治は社会を反映し、政治が法を新しくしていく。日本は進化の過程にある」と回答したという(6月8日)。

「日本は進化の過程にある」 何という日本国や日本人を見下した言葉であろうか。そして、自分たち(欧米人)は、優れているという優越感を内包する言辞であろうか。

東京レインボープライドに参加するエマニュエル米国大使 同大使SNSより

エマニュエル大使のこの言葉に対し、日本政府は、もしくは日本の政治家は、誰か直接、大使に抗議したのであろうか? 寡聞にして、私はそういった報に現時点では接していない。「日本は進化の過程にある」などと言われて「何を言っているんだ!」と抗議する覇気のある政治家または官僚はいないのであろうか。これは、あくまで私の想像ではあるが、もしかしたら、日本の政治家や官僚も大使の言葉を(その通りです)と内心思っているのではなかろうか。

最近、LGBT法案を成立させようとする動きが加速しているが、同法成立推進派の自民党の国会議員である古屋圭司氏はそのHPの中(LGBT理解増進法案について・5月16日)で「今週末にG77サミットが広島で開催される。G77の中でLGBTに特化した法案を持つ国はない中、日本はややもすると人権に後ろ向きと謂れのない風評被害(批判)に対して、議長国として主体的に岸田首相は我が国政府・議会は理解増進法案を取り纏めた。日本国内は歴史的に性差に対し鷹揚な文化を形成してきた。しかし、世界の流れを捉え、日本は先駆けて今般このような法案を取り纏めた。文句あるか!と堂々と主張してほしい」と記している。

この一文からは、日本に対し世界(おそらく欧米)から「人権に後ろ向きと謂れのない風評被害(批判)」があることが分かる。その風評被害に対し、日本政府が断固抗議し、懸命に払拭に努めるのではなく、LGBT法案の成立をもって応えようとしているように、私にはこの文章は読み取れてしまう。

明治時代以来、日本人には欧米コンプレックスが濃厚にあるとはよく指摘されていることだが「欧米は優れていて、日本(またはアジア)は劣っている、遅れている。欧米に倣わなければ」という価値観を、政治家も官僚も心のどこかに抱いているのではないか。エマニュエル大使の今回の発言に日本政府が抗議しないというのは、そういう理由があるか、もしくは同盟国ということで過剰に気を遣っているかのどちらかとしか私には考えられない。