どうして日本の生産性があがらないのか
この話題はけっこうされております。デービッド・アトキンソンあたりは本当によく言ってくれます。
日本の生産性は、OECD加盟38カ国中27位です。もうボロボロ・・・・
日本はコロナ禍からの立ち上がりが先進諸国と比較して非常に遅く、どんどん差が開いている。「厳しい規制をした方が経済のダメージが少ない」とかイミフの呪文を唱える医者に引きずられて国際競争力はどんどんとなくなっている。
1人あたりのGDPは各国と比較して暴落気味
実は日本の生産性は昔からそれほど高くはなかった。が、どんどん他国との差を広げられているのである。
でまあ、日本の生産性が上がらない理由はいろいろ言われているが、私的にはこの3つだと思う。
1. 海外に工場が移転し、主要産業が製造業からサービス業になった
もっとも効率化を図れるのが製造業で、工場の自動化や製造機械の入れ替えでかなりの効率化を図ることができる。日本の設備投資もコロナの時は激減したものの増えてはいるが・・・
それでもここ数十年で多くの日本メーカーの工場が海外に移転してしまったために全体に与える影響が小さくなっている。サービス業は文字通り人間がサービスするわけで生産性が非常にあげづらいのである。
2. 企業(自治体)の経営者が高齢でリテラシーが低い
日本の企業と自治体の首長の年齢別分布です。
大半を占める中小企業の経営者の平均年齢はすでに60歳を超えています。分布はこんな感じ。
60歳以上が6割近く、70歳以上が3割弱・・・・・
自治体はどうかというと、こちらのデータでは、
60歳以上75%!!! 70歳以上30%!!!
と、まあ日本の企業も自治体も、上が高齢者ばかり。これでIT化しろとかいっても無理なんじゃないでしょうか・・・。みなさんなんとかいまのまま自分の代までは生き延びればいいや的なスタンスでしょう。
静岡県のデータみつけました。
ほんともう、議員は爺さんばかり。
社長も幹部も首長も議員も爺いばっかの日本でなにが生産性?
という絶望感が漂います。
一番酷いのがマインドです
・とにかくいまのままで変化なんてしたくない
・先のことを考えても仕方ない
・仕事はあまりしたくない。もうのんびりしたい。
・金はもう要らない
というのが典型的な爺さんマインドだと思うのですが、これでは生産性が上がるどころかかえって下がります。
この爺さんマインドが実は日本中に浸透していて、国民全体がそうなっているのではないかというのが私が考える、日本の生産性が上がらない一番の理由です。
この高校生の調査には恐れおののきますよね。
国立青少年教育振興機構の調査結果ですよ。今週出たばかり。けっこうな大規模調査です。
高校生の進路と職業意識に関する調査報告書-日本・米国・中国・韓国の比較-
1. 大学は行きたいが大学院には行きたくない
つまり、人の目を気にするから大学には行っておきたいが、勉強はしたくないので大学院はいかなくていい、ですか。あまりに突出していて涙が出ます。
2. ボランティアやインターンは面倒だからイヤ
これもダントツ。高校生のくせにジジイか、お前らは。
3. お金のために仕方なく働く
世界で突出してます。お金はもらうものという意識が染みついています。
実はココが重要で、金のために働くとなると「自然にサボる」わけです。なぜかというと少しでも手を抜いた方が実質の労働時間が短くなるわけで時間あたりの労働単価が上がるからです。いい方わるいが同じ給料ならサボるだけサボった方がお得になりますよね。
4. 義務感で仕方なく働く
義務でやらされるんですからイヤイヤですわ・・・・
5. 仕事は楽しくなく、つまらなく、苦しく、義務でイヤイヤ働く
6. のんびり暮らしたい、転職したくない。出世したくない、起業したくない。我慢はしたくない
あの〜・・・・・・・・
このマインドで生産性なんて上がりますか?
日本の生産性が上がらないは染みついた爺マインドが原因
日本人がずっとこうだったわけではないでしょう。戦後の高度成長期やバブル時にはこんなことはなかったはず。バブル崩壊後の空白の30年で不景気がずっと続き、同時に世界で例を見ない超少子高齢化となり、バブル時に栄華を誇った団塊の世代が一斉に首長になったり社長になったり、この世代だけが得をする事態になった。結果、彼らのマインドが日本を支配したのです。
・とにかくいまのままで変化なんてしたくない
・先のことを考えても仕方ない
・仕事はあまりしたくない。もうのんびりしたい。
・金はもう要らない
というさっきも書いた彼らのマインドが日本全体の共通マインドとして全世代に浸透し、「働きたくない」「何も変えるな、いまのままがいい」「先のことは考えないようにする」というマインドに日本全体が汚染されてしまっているのだ。これでは国際競争力もへったくれもあったものではない。先進国はおろか、ぐいぐい伸びてる中国、ベトナムなどのかつての発展途上国に対抗できるマインドではない。
これじゃ恋愛も結婚もしない。ぶらぶら楽しく、なるべく働かずに、責任は持たずに、言われたことだけする国民性に成り下がっているのです。日本はまだ競争力があるとか言う人、マインドがココまで落ちた国で戦えると思いますか?
編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2023年6月30日の記事より転載させていただきました。