札幌の「寿司アービトラージ」はいつまで出来るか?

インナーサークル資産設計実践会の北海道スタディツアーが無事に終わってから、1人でもう1日札幌に延泊しています。

その目的は、お寿司です。

このブログの読者であることがきっかけで知り合った札幌在住のOさんに、今回はすすきのにある田久鮓さんを紹介してもらい、ディナーをご一緒しました。

余市のスペシャルな木村農園の赤ワイン(ピノノワール)を持ち込んで頂き、お店のシャンパン、日本酒と合わせて、お寿司との組み合わせを楽しみました。

こちらのお寿司は、シャリに切ったネタをただのせただけの「エゾ前」ではなく、赤酢が効いた江戸前の札幌で最高レベルのお寿司屋さんです。

カウンターでシャンパンと日本酒をたっぷり飲んで、お腹いっぱい食べたのに、お会計は東京の有名店の何と半額です。

この価格でこのクオリティなら、飛行機代と宿泊費を出してもわざわざ東京から来る価値があります。

時間に余裕のある人であれば、フライトはマイレージで、宿泊はマリオットのポイントで予約できれば、交通費と宿泊費もほとんどかからず、むしろ札幌の方が安くあがります。

さらに札幌にはお寿司以外の観光資源もたくさんあります。少し足を伸ばせば、小樽や余市などの観光にも行くことができます。

資産運用の世界では、価格の差を利用して収益を狙う投資手法を「アービトラージ(裁定取引)」といいます。「歪み」から収益を得る私の大好物です。

心配なのは、このような東京と札幌のお寿司の価格差に注目した「寿司アービトラージ」が、これからさらに多くの人に広がることです。

東京から札幌に食べに行く人(アービトラージャー)が増えれば、札幌のお寿司の値段は東京に近づいていくようになり、割安感は徐々に消えていきます。裁定取引が成り立たなくなるのです。

だから、マネする人があまり出ないことを祈りながら、今のうちに足繁く通っておこうと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年7月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。