ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団&ヤクブ・フルシャ@シャンゼリゼ劇場

ヴィエナーフィルハーモニカー&ヤクブ・フルシャ@シャンゼリゼ劇場。

指揮者が好みでなくチケット取ってなかったのだけれど、暇&プログラム魅力的&次のウィーン行きは早くても来年3月でなければ6月になりそう&チケット大量に余ってる、ので、行ってみる。

ヤナーチェク「イェヌーファ」プレリュード、普通。ウォーミングアップ。

プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」組曲。序曲の弦の最初の2秒間、ものすごく美しくてうっとり。これぞウィーンフィルの音色!ただ、その後が、重たい重たい・・。もったり、まったり。1幕のパ・ド・ドゥ、若いカップルの初々しい愛情は皆無。

音楽関係の知人は、”若い二人の颯爽とした雰囲気が皆無”と。全くもって。ティバルトとの戦いの部分、弦の細かな弓捌きは圧巻。聴き惚れる。フルートトップも、世界最高だと思ってるシュッツなので、これまた素晴らしい。曲作りの不備を、曲自体とオケの個人技で凌いでいる。

バレエ作品は普段、パリオペラ座オケの伴奏としてしか聴いていないので、一流オーケストラの気合い入った聴くと(見ると)、曲本来の美しさがよくわかり楽器構成もいろんなことがわかって楽しい。

この曲、ムジークフェラインの音響で聴きたいなぁ。プロコフィエフのツヤッツヤ感とあの会場のキラッキラ音響、相性よし。

後半は、ショスタコーヴィッチ「シンフォニー5番」。

だるっつ。出だしから、だるっだるな運びで、ぐったりする。相変わらずシュッツのフルートとホーラックのオーボエは最高だし、シュトイデのソロも圧巻で、彼が率いる弦の高音パートもよいのだけれど(コントラバスが、地底から湧き上がるような独特の迫力が出てない)、全体的に重力に逆らえずずるずる地上を這うイメージ。ティーレマンみたいなどっしりした重厚さと深い思索とは違う、ただただ重たくやぼったい。

知人コメントは、”ノロノロで重い、熱演ではあるが”。確かに熱演ではあった。でも、説得力ないし重たいだけ。ラストは、奏者総動員の高質オケの迫力勝ちでそれなりに聴けたけれど。ヤンソンスが振ってたら、両方とも、どれだけ浮遊感と高揚感を得られたか・・涙

知人は、最初のヤナーチェクも、”同じ地域に生まれながらローカルカラー出てないし、今ひとつ”と。アンコール、ドヴォルザーク”スラヴ舞曲”も、特にローカルは感じらず、知人に言われるまで、この指揮者がチェコ出身なの忘れてた。

横の人とおしゃべり。前半後、”どうでした?”と聞かれたので、”オケはさすが、木管素晴らしい、曲もよいです。指揮者は好みじゃない”と答えたら、”指揮者どうして?”と。説明すると、”あーなるほど、わかるなぁ。僕はムーティのファン。ヤンソンスやムーティのレヴェルとは比較にならないよね(笑)”と。

”フルート、最高!”と言っておいたら後半後、”うんうん、フルート、本当にすごい!”と同感してくれた。シュッツのフルート、大好き♪

フルシャ&ウィーンフィルを聴くのは2度目。最初は、ヤンソンスが亡くなった時、ウィーンで、彼の代理で振った時。あの時も全然ピンと来なかったけれど、最愛指揮者の代役&まさかの死というショックで、偏見あったと思う。でも今回は、ちゃんと聴いた上で、好みじゃないのを実感。秋の演奏会、チケット取らなければよかった・・。

ヤンソンス亡き後、彼はなんどかウィーンフィルを振ってるけれど、絶対ヤンソンス枠。今夜の演奏会も間違いない、プログラム見る限り。プロコフィエフとショスタコーヴィッチなんて、どう考えてもヤンソンス。最愛指揮者で聴きたかった、と胸が痛む。

オーケストラ自体のよさは感じられたので(弦、見覚えない顔がたくさん増えた気がする)、もちろん聴けてよかったけれど、またこの指揮者での9月のウィーンフィルのチケットは、誰かに譲ろうかな。

2019年11月ウィーンフィル&フルシャ@楽友協会はこちらです。

2019年12月ウィーンフィル&フルシャの様子はこちらです。


編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々5」2023年5月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々5」をご覧ください。