子供4人の救出に多大な貢献をしたアマゾン先住民の生きる知恵

アマゾン密林地帯ではGSPも役に立たない

科学が発達した現在においてもアマゾン地帯ではその限界にぶち当たった。それをアマゾンでレスキュー部隊は感じさせられたのであった。

というのも、背丈40メートルもある木々が密集し、視界も制限され、湿気は80%以上、滝のような雨にも襲われる時もある。そのような状況下ではGPSを頼りに進んでも位置を失うことが容易に発生したという。そのような時、彼らは太陽の日差しが指す方向を頼りに位置の確認をしていくのであった。そのような時は正にアマゾンで生活している先住民の知恵が役立ったのである。

偵察機で4人の子供を乗せた飛行機が墜落した場所は追跡できた。しかし、墜落した場所の付近に繁っている大きな葉っぱが密集していることは確認できたが、その葉っぱの下に何があるのかはまったく不明だった。現場に足を運んで直接自分の目で確認しないと分からない。その現場に到達できるまでがまた大変だったという。

先住民の7部族からもレスキュー隊に加わった

今回の捜索には120名の軍人レスキュー部隊に加え、73名の先住民グループが加わった。シオナ、ナサ、ウイトト、シクアニ、ミサク、コレグアヘ、ムルイの7部族から構成されたグループであった。

捜索は毎日午前5時から午後5時まで続けられた。それが40日間続いたのであった。濃厚な茂みの中を進み、途中洞窟を見つければその中に入って調査、川沿いに人影を見つけることができるのではないかと見まわして進んで行った。

軍人は口にする食料が用意されていた。しかし、それだけでは不十分で食料にできる野生の果実や昆虫なども口にしたという。特に厳しい条件下で長丁場の捜索で重要な役目を果たしたのはアマゾン地帯に育つ薬草だった。精神的そして肉体的に耐えて捜索を続けて行くのに薬草は意欲と体力を維持して行くのに多大の貢献をしたそうだ。それには先住民の知恵と経験が大いに役立ったのである。

 密林を守る神様に先住民はお祈りを続けて進行を続けた

捜索に加わった先住民族は密林を守る神様に子供たちを守ってくれるようにお祈りを続けたという。また同時にそのお祈りには捜索を続けているグループの保護と道案内をしてくれるように願いを込めたものでもあった。「先住民族のメンバーの中には40日間密林へ奉納として動物を食べない人もいた。彼らが良く食料にする蛇さえも4人の子供が見つかるまで遠慮した」と語ったのはシクアニ族のフラビオ・ヤペス族長であった。

精神面での要素が今回の捜索で重要であったという。「夜になるとトラが吠えのを聞くことで、我々の捜索で警戒心を保つことができた。また我々の多くが子供たちの方に導いてくれてる夢を見た」と語ったのは先住民族警備隊のルイス・アコスタ隊長だった。

また捜索メンバーの間では野生の植物でヤゲとかアヤウアスカと呼ばれている幻覚症状を誘うものを口にしていたそうだ。先住民族の呪術医によると、それは精神的に直観力を高めるようになるというのだ。

それはレスキュー部隊の軍人の間でも役にたったのである。先住民グループの一人エンリー・ゲレロ氏がそれを次のように語っている。「軍人たちはコロンビアのアマゾン地帯の中で動き回ることには経験がない。我々が彼らに密林の中で生存して行く為の方法を教えた。しかし、25日間探し続けたが結果が出ず我々の間でも士気が喪失していた。人的努力だけでは子供たち見つけることは不可能だと感じるようになっていたのである。そこで我々は精神的な支えになるものを求めたのであった。それで我々はヤゲを口にするようにしたのであった」

精霊尊重の儀式の翌日に子供たちを見つけた

6月8日になって事態に大きな進展がみらるようになった。ヤぺス氏が言うに、行方不明となっている子供たちが属しているムルイ族のグループが当日歌いそしてヤゲを消費しながらある儀式を行ったのである。それは精神的な方向付けを授けてもらう為であった。その儀式ではメンバーの誰かがアナコンダに化けたり、トラになったり、大きな鳥になったりしたのである。

あの夜、ムルイ族のメンバーが動物に化けて、どの動物が当てたのかわからないが、(飛行機の墜落)事故が起きた方向にまた戻って行くように暗示された、というのであった。正に、そこに子供たちがいたのであった。

そこは事故があったところから非常に近い距離であった。そこに子供たちがいたのである。当初、子供たちは食料などを求めて歩き回った。レスキュー部隊が最初に墜落した飛行機の現場に行ってその周辺を探しまわった時には子供たちは誰もいなかった。ところが、精根尽きた子供たちはもう移動する力もなくなって出発点近くまで戻って行ったのである。正に、その時にレスキュー部隊がムルイ族の精神的なひらめきを頼りに事故があった方向に逆戻りしたというわけである。そこでついに子供たちを発見したのであった。

レスキュー部隊に加わった軍人たちも先住民族に対して認識を新たにすることになったそうだ。というのも、これまで先住民族のことがメディア取り上げられるのは森林開発に反対して抗議をして治安部隊と衝突している場面だったりするだけであった。だから軍人たちの間でも先住民族に対してよい印象を持っていなかったという。ところが、今回40日間も一緒に行動している間に彼らの自然を尊重する生き方に軍人たちは強い共感を感じるようになったのである。(以上6月22日付「ディアリオ・エス」から引用)。