ドメーヌ・タカヒコだけではない北海道・余市のワインのとんでも無い「伸びしろ」

余市(よいち)の方に特別にお願いして、町内のワイナリーを案内してもらいました。

最初に訪問したドメーヌタカヒコ(写真)は、今や世界的に有名なワイナリーです。カルトワインとして、通常ルートではもはや手に入らない人気です。

オーナーの曽我貴彦さんから直接お話を伺いながら、貴重なワインの試飲もさせていただき、その魅力の一端に触れることができました。ちなみに、試飲させてもらったナナツモリ ブラン・ド・ノワール ドメーヌ・タカヒコ2020の味わいに完全にやられました。

午後からは、さらに2つのワイナリーを訪問しました。

2,000円台のテーブルワインを一人で作っている醸造家や、フランスで学位を取って高級レストランでソムリエの経験を持つ天才肌の醸造家まで、尖がった方ばかりでした。

どこも他とは違う個性的な生産方法で、自分なりの理念に基づいてワインを造っているのが印象的でした。

プラスティックタンクを使っているところから、ステンレスで造っているところまで、それぞれの考え方があって興味深かったです。

この余市・仁木エリアには、すでに30のワイナリーができていますが、ほとんどはまだ作り始めてから10年経たない、小規模なワイナリーです。

全国のワイナリーで修行した人たちが次々と余市にやってきて、ワインを造り始めています。

大手のワインメーカーが大量生産するのではなく、バラエティ豊かな品種を使った面白いワインばかりです。

フランスのブルゴーニュに似た気候とも言われる余市ですが、ピノノワールのブルゴーニュスタイルを踏襲するばかりではなく、ドイツ品種などもあって、一言で言い尽くせない振れ幅があります。

今後、さらに新しいワイナリーが増え、お互いに切磋琢磨する中から、新しいスターワイナリーが生まれてくる可能性があります。

また、若い木が年月を経て古木になっていけば、ワインに使われるぶどうの品質も安定し、向上していきます。

余市の恵まれた気候と土壌があって、そこに個性的な人たちが集まり、ぶどうの品質も上がっていく。

日本は元々、味噌、醤油、漬物といった発酵食品の文化を持っています。

その発酵文化がワイン造りと結びついていく。余市のワインには世界的にみても、とんでも無い「伸びしろ」があるように感じました。

5年後、10年後の余市ワインがどうなっているのか?今から楽しみで仕方ありません。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年7月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。