日本経済新聞にみずほ銀行を統括するみずほフィナンシャルグループ(FG)の木原社長のインタビュー記事が掲載されていました。
木原氏は1989年にみずほ銀行の前身の日本興業銀行に入行しました。楽天グループの三木谷浩史会長は、大学・銀行の一年先輩です。また、木原誠二内閣官房副長官は実弟というサラブレッドです。
取材記事では、
「やはり日本にこだわりたいんですよね。我々は日本の金融機関で、日本が強くなければ海外に打って出られない。だから日本をもう一度強くしたい。」
と語っているのに、違和感を感じました。あたかも、みずほ銀行が日本を強くできると思い込んでいるかのような口調だったからです。
みずほ銀行は、日本興業銀行、富士銀行、第一勧業銀行の3行が合併して生まれたメガバンクです。
その中でも日本興業銀行は、産業金融の雄と呼ばれ、当時の通産省とのタッグによって、高度経済成長期の日本企業に大きな貢献をしたことは事実です。
しかし、成長期に重厚長大産業で効果を発揮した手法も産業構造が変わり通用しなくなりました。また、資金調達の多様化によって銀行の相対的な重要性も低下しています。
それどころか、みずほフィナンシャルグループは合併による弊害に悩まされ、過剰コンプライアンスによって身動きが取りにくい硬直的な銀行になってしまいました。
統合に伴いシステムトラブルが頻発し、金融機関としての信頼感は低下しています。私は、万が一のことを考え、不動産の決済には今もみずほ銀行は使いません。
「日本を強くしたい」と語っていますが、その前にやるべき事は自分たちを強くすることです。
銀行が日本の産業を強くしていく原動力である。そんな上から目線の勘違いが払拭されない限り、みずほフィナンシャルグループの迷走は続くというのは穿った見方でしょうか。
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年7月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。