黒坂岳央です。
「争いは同じレベル同士で起きる」という有名な言葉がある。確かに当てはまると感じるシーンは多い。ヤンキーは弁護士とではなくヤンキー同士でケンカをすることが多いし、中学生のケンカ相手はたいてい中学生同士だ。
この話はリアルにおいて当てはまる事が多いと感じる。しかし、舞台がことネット上になると必ずしもそうとは限らないことがわかる。違うレベルで起きる争いは少なくないと思うのだ。その理由を考えてみたい。
ネットとリアル、最大の違い
リアルとネット、人と人との交流で同じ人間同士が対面、ネット回線を通じてコミュニケーションを取っている点については同じに思える。だがリアルとネットでは大きな違いがある。それは属性である。
リアルの人間関係においては、意識、無意識に関わらず属性は断絶される。住居が港区、同じ勤務先で同じ部署の同僚でMBAホルダーといった状況なら関わる相手の所得水準や学歴は自分とはかなり近しいものになるだろう。関心事も「キャリアアップ」とか「資産運用」といった共通のキーワードを持っていることも少なくないだろう。そうなれば、共通言語や共通の不文律を前提にコミュニケーションを取るのでお互いの価値感は共感までは至らなくても、理解はできるという状況が起こり得る。
しかし、ネットはそうではない。小学生からビジネスマン、医者やアイドルなどPCかスマホのデバイスを通じてアカウントを有するものが全員同じプラットフォームに集う。リアルの場で医者と小学生が医療行為以外で会話する機会は皆無だと思うが、ネットではこれがあり得る。プレーヤーの属性はあまりにも異なるため、価値感が合わないと感じるような衝突が起きやすい。
関わる相手の属性の違いが、リアルとネットにおける人間関係の最大の差である。
ネットで争いが起きる理由
ネットで動画なり、記事なり、コメントなりを残す。そうやって自分の存在を認知されることで、自分とは異なる価値感の持ち主がやってくることがある。「お前の言っていることは変だ」はまだいいが、時には相手の容姿を中傷する反応を見せるものもいる。このような攻撃に反撃した時から争いが始まる。
もちろん必要な反撃はあるだろう。自分の仕事の権威性を貶めたり、虚偽の風説を流布を受けると実害が生じる。そうした時は法的措置を取るなど、しっかり相手の行動に責任を取らせる必要はあるだろう。
しかし、相手の軽い煽りに反撃をしてしまうシーンはかなり見る。大物インフルエンサーの中にも、批判されてカッとなって強めに言い返すという具合だ。特に影響力がある人が発言をすると、賛否両論360度から雨あられのようにコメントが降り注いでしまうため、どうしても耐えきれずに言い返したくなる気持ちが湧くことはよく理解できる(自分は影響力がある人物とは程遠い矮小な存在であるがこの現象はよく理解できる)。
こうした実例からも、レベルが同じ/違う者同士でも争いは起きると思うのだ。
争いを回避するためのコツ
これまでそれなりの数の記事や動画を何年も出してきた自分も、たくさんの攻撃を受けてきた。だが本格的に争いになったことは一度もない。自分なりに心が得ているコツを取り上げたい。
まずはエゴサーチをしないことだ。どんな人でもネガティブな反応をつけられてしまうことがある。積極的に誰かの陰口を見つけて、傷つき、怒る必要はない。営業妨害にならないなら好きに言わせておけばいい。仮に営業妨害になるレベルの書き込みが生じて、誰かから教えてもらったのならその時はトラブルに対応できる法の専門家へ速やかにエスカレーションすればいいだけだ。
それから異論に反応しない。自分もよく異論を受ける立場だ。「お前の持ってきたエビデンスは信頼性にかける」とか「お前のいっていることは他の専門家の意見と違う」といったものである。この記事を書いている昨日も今日も頂いた。だが自分はこうした異論は基本的に一切反応しないとルールを決めている。以前、丁寧に対応したことがあって最終的にこちらの論理を通したが、それで得られるものは何もなく手元の時間とエネルギーが失われただけだと気づいて、それ以降は一切やめた。
もちろん例外はある。こちらの過ちに気づきを与えてくれるコメントの中には、異を許容する器の持ち主かつ、伝え方にも品位を感じられるし生産的、建設的姿勢でコメントをしてくる人もいる。そういう人には丁重に対応する。だが「お前は間違いで自分こそが正しい」みたいなスタンスの慢性的承認欲求欠乏症の相手には、何を話をしてもお互いエネルギーのムダでしかない。だから一切反応はしない。こうした属性の持ち主は元々強い信念も胆力も持ち合わせていない事が多いため、2-3回返事がなければ諦めて他へいくことがほとんどだ。
◇
争いが起きるのはレベルの問題ではなく、「自分をわかって欲しい」という気持ちに立脚する。自分とは価値感の異なる相手にわかってもらいたいという欲求はさっさと捨てて、その時間やエネルギーは自分のことを分かってくれる人に使うべきなのだ。
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