薪ストーブ問題が葉山町議会で提起されたその後

青山 翠

葉山町HPより

前稿では、薪ストーブの煤煙悪臭問題が神奈川県葉山町の議会で2名の議員により提起されたことを紹介した。

その後の経過を記録しておきたいが、まず冒頭で宣伝をしておきたい。

筆者はこの薪ストーブ等による住環境大気汚染問題の他、電力エネルギーや廃棄物処理など、気候変動や大気汚染にも関連する問題も含めた論考を、数分以内の短い動画で解説するこをを目したYouTubeチャンネルを開設した。

今後は言論プラットフォーム「アゴラ」と並行して関連動画を投稿してゆく積りであるが、さすがにこちらの動画はアゴラに転載頂くわけにはいかないと思う。

AQ-Watcher-Hayama – YouTube

基本的に【魔理沙と霊夢のゆっくり解説】の内容は真面目な3分以内動画(多忙又は長文読解が苦手な方向け)とするが、読者によっては「ふざけている不真面目だ」という批判も出てくるとは思う。そう思われたのであれば視聴を中止いただいて構わない。

一般質問について

経緯をおさらいしておこう。

令和5年度統一地方選挙にて当選した町議による最初の議会「令和5年度第2回定例会」が6月に開会された。

この会期中の本会議一般質問で、2名の1位2位の得票を得た有力新人議員によって薪ストーブ問題が提起され、これに山梨崇仁町長、新倉利勝環境部長、伊藤義紀消防長が答弁したものである。

元動画等、詳しくは前稿中のリンクを参照されたい。

筆者もこの一般質問に臨場し傍聴していたが、町側の答弁が非常に苦しいもので言説の内容趣旨が揺らぎ、町長や環境部長の動揺が感じられた。

その答弁内容は素人の筆者も唖然とするほど、答弁者の認識の浅さと知識不足から来る事実誤認や言説の矛盾も見られ、突っ込みどころ満載であったことを付記しておきたい。

特に山梨町長は必死に薪ストーブ問題を、「そんなに問題の無いもの」「カーボンニュートラル」であるとの姿勢を(町長の個人的事情による。後述)貫きたいようであり、薪ストーブ関係者が苦しい言い訳を述べる言説に相通じるものが見られ「なるほどそういうことか」と察した。どこの自治体でも概ね同様だろうとは思う。

一般質問の内容に関しては、本稿に含むと長くなるので、これは録画動画を交えて次稿に纏める。

本議会の録画動画の該当部分については筆者が開設したYouTubeチャンネルに既にUPしてある。なお、これは筆者が町議会事務局から正式に使用許諾を得ているものである。

発行が異常に遅い議事録

本定例会での薪ストーブ関連部分について、正式記録である議事録を基に早期に考察を加えたいが、該当議事録の公開が異常に遅く、本稿執筆時点では未だに公開されていない。閉会日が6月28日であったがこんなに遅いものであろうか。

議員経由で確認したところ、6月末に閉会した議会の議事録の公開が9月初旬であるという。

更には次回の令和5年度第3回定例会は9月6日から10月13日であり、前回議事録の公開も覚束ないうちに次議会ということになり、毎回その繰り返しであろうか。

町民が前議会の経緯を把握せぬまま、次議会が開会されるということになる。

議会事務局は3回のReviewをかける為との理由のようだが、それにしても民間人の感覚から見て余りに遅くないかと思う。

まともな一般企業なら議事録やレポートが数か月後ということは余り無いと思う。

しかし何れにしても手元には正式な議事録が無い以上、議会の録画から概要を記しておこうと思い、エディタを起動したところに、令和5年8月7日「はやま議会だより153号」が各戸に配布された。

結論から言うと、薪ストーブ問題は本号には書かれていない。

2名の議員と町側の答弁を含め合計約20分を超える、大変ちからの入った一般質問の項目であったが、「はやま議会だより」には一言も記載が無い。他の項目はかなり網羅されているが、「薪ストーブ問題」は無い。

これには実は紙面都合の他、大人の事情が有ったが、事情については筆者が知っていればよいことなので本稿では割愛する。

が、筆者は残念な思いが強い。一言でも盛り込んであれば、議論の端緒に付く日が1日でも早まり、煙害解決の日が早まったかもしれないという思いがある。

エコやエシカル、カーボンニュートラルや癒しだと苦情を押さえつけられ、理不尽にも無視され見捨てられ、声すら出せず苦しむ煙害被害者を1日でも早く救済したい。

関係議員諸氏には、今後も精一杯の尽力を大きく期待したい。筆者も最大限の協力をしたいと思い、次シーズンへ向けて既に着々と準備を進めている。

抵抗勢力の存在

県議会議員や町議会議員、町長の身辺調査を進めると、薪ストーブ問題を不都合と思料し「無いことにしたい」者の姿が次第に明らかになってきた。

筆者は以前から数名の町議会議員や県議会議員などに「薪ストーブ問題」を訴えてきた。しかし従前は誰も取り合うことなく完全に無視黙殺されてきた。

この背景を探っていると見えてきた事実がある。

薪ストーブ問題を問題化することに不都合を感じる者の存在が有る。

ある時、事情通に話を聞いた。

薪ストーブ問題は葉山町では不可触扱いだ。富裕層、高額納税者や著名人、移住してきた芸能人などが薪ストーブや暖炉を使用している、また、地元有力者や議員自身も薪ストーブや暖炉を本人又はその関係者が使用している。そして議員の知り合いや友人が造園や工務店、木材業や薪ストーブ販売店など薪ストーブ関係の事業を行っている例があり、これらによる圧力が町役場(町長、議員、職員含め)に掛かっているということで、幾ら問題提起しても全く無駄だ

という。「薪ストーブ問題は触れてはならないことだ」という共通認識が町側にあるというのだが、これが真実であれば全く酷い話である。

そんな葉山町に関係する「薪ストーブ抵抗勢力」を挙げておこう。彼らは議員という立派な公人なのでもう名指しで問題ないだろう。

この図をご覧いただきたい。現在明確に判明している抵抗勢力の相関関係を示す。グレーゾーンについても併せ併記しておこう。

と思ったが、長くなったのでこれも改めて次稿で示し「アゴラ」に記録して残そうと思う。


編集部より:この記事は青山翠氏のブログ「湘南に、きれいな青空を返して!」2023年8月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「湘南に、きれいな青空を返して!」をご覧ください。