自分が幸せではない人は、人を幸せにすることはできない

資産運用を誰かに相談しようと思ったとき、自分より資産額の少ない人には相談してはいけません。

これは、ダイエットのトレーナーが自分より太っていたり、美容外科の先生の肌が荒れていたら相談すべきではないのと同じです。

自分では出来ない人にアドバイスを求めてはいけないということです。

こう書くと一流スポーツ選手が、自分より選手としての実績がない人をトレーナーやアドバイザーとして招き入れているではないかと反論されるかもしれません。

しかし、彼らは選手としての実績だけではなく、メンタル面やトレーニング技術の卓越したスキルを持っており、その能力を評価されているのです。分業化された1つのエリアで突出した実績を持つ人の能力を活用しているのであって、同じ土俵の人ではないのです。

普通の人たちの世界では、そこまで細分化されたスキルは必要ありません。トレーナーやアドバイザーは自分と同じ土俵で自分より優れた成果を上げている人を選ぶべきです。

自分が実現していること以上の成果を周囲に実現することはできない。これが大原則です。

メンタルの世界でも、周囲にいる人たちを幸せにするというミッションを掲げて活動している人をSNS上で良く見かけます。注意しなければいけないのは、その人自身が本当に幸せに生きているかどうかです。

人を幸せにできるのも、その人のレベルがマックスです。自分が幸せではない人は、人を幸せにすることはできないということです。

一見、華やかな人間関係や豊かな生活を謳歌して幸せアピールしていても、その裏側はわかりません。

例えば、ハワイの別荘自慢をしている芸能人の多くは保有しているのではなく、賃貸で数か月だけ借りているそうです。決してウソをついているとは言いませんが、巧みなイメージコントロールによってセレブイメージの演出を肥大させる努力をしています。

円満な夫婦生活をアピールしている芸能人が仮面夫婦だったりするのも良くあることです。

だから、誰かに何かのアドバイスを求めるときには、その人の本当の姿を冷静に確認することが必要です。ネット上のイメージだけで安易に信じてしまうと、本当に役立つアドバイスを得ることはできません。

自分を良く見せることにばかりエネルギーを割いている人を見たら要注意です。本当に幸せに生きている人は、それを声高にアピールしたりしないものです。

miya227/iStock

 


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年8月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。