女性のパートタイム雇用率:日本は主要先進国で最高水準

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1. 他国に逆行する日本の推移

前回は男性の現役世代についてのパートタイム雇用率をご紹介しました。

日本は先進国平均値よりやや高い水準から、近年急激に上昇して、主要国ではカナダに次ぐ高水準に達しています。

今回は、女性の現役世代のパートタイム雇用率について着目してみましょう。

OECDによるパートタイム雇用(Part-time employment)の定義は、本業で労働時間が週に30時間未満の労働者(従業員、自営業者含む)となります。

全労働者に占めるパートタイム雇用の割合がパートタイム雇用率となります。

図1 パートタイム雇用率 15~64歳 女性
OECD統計データ より

図1が現役世代女性のパートタイム雇用率です。

日本は2002年からのデータとなりますが、上昇傾向が継続しています。

他の主要国を見ると、近年では低下傾向の国が多いですね。

オランダやスイスは水準は高いですが低下傾向です。

イギリス、ドイツも2000年頃は日本より高い水準でしたが、低下傾向が続き近年では日本の方が高くなっていますね。

日本と韓国が上昇傾向なのが目立ちます。

また男性のパートタイム雇用率よりも、女性のパートタイム雇用率の方が全体的に大分高い水準というのも特徴的です。

女性はパートタイム労働が多いというのは、特段日本だけの傾向ではなく、主要国共通と言えそうですね。

特に主要先進国の中でも日本、ドイツ、イギリス、イタリアは女性のパートタイム雇用率が高めです。

2. 先進国でもパートタイム雇用率の高い日本

図2 パートタイム雇用率 15~64歳 女性 2021年
OECD統計データ より

図2が2021年の女性のパートタイム雇用率です。

日本は35.7%で、先進国の中でもオランダ(54.1%)、スイス(40.7%)、オーストラリア(36.2%)に次いで4番目に高い水準となります。G7では最も高い水準です。

平均値(21.7%)の1.5倍以上で、かなり割合が高い方になります。

平均給与では近い水準のフランスでは20.0%と大きな差がありますね。

3. 日本のパートタイム

日本のデータについても眺めてみましょう。

図3 有業者数 女性 従業上の地位・雇用形態別 1997年(上)・2017年(下)
就業構造基本調査 より

図3が日本の雇用形態別の女性労働者数シェアです。

女性労働者数は全体的に増加していますが、特にパート・アルバイトの増加が大きいようです。

非正規雇用は全体的に増加していますが、正規職員・従業員は減少しています。

また、家族従業者が大きく減少しているという特徴もありますね。

図4 有業者数 女性 30代 就業上の地位・雇用形態別 1997年(上)・2017年(下)
就業構造基本調査 より

図4が女性の30代の雇用形態別労働者シェアです。

一部自営業主や家族従業者が非正規職員・従業員に切り替わったような変化にも見受けられますが、それ以上に非正規雇用が増加している状況ですね。

就業率が上昇し、労働者数自体は増えています。

正規職員・従業員も増えてはいますが、非正規雇用の増え方の方がかなり多いようです。

4. 女性のパートタイム雇用の特徴

今回は、女性のパートタイム雇用率についてご紹介しました。

各国で近年は停滞・減少傾向の中で、日本は上昇傾向が続いていて先進国でもかなり高い水準に達しています。

各国で女性の就業率が向上していますが、日本は性別による賃金格差も大きく、パートタイム雇用率との関係性も影響しているものと考えられそうです。

女性の働き方や対価の設定に課題がありそうですね。

皆さんはどのように考えますか?


編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2023年8月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。