台湾有事における日本の高い輸入依存度が危険

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中国は台湾へ侵攻するのか?

先ず最初の疑問として、中国は、自国が受けるであろう世界からの制裁や、国家の威信を犠牲にしてまで台湾へ侵攻するであろうか? また習主席の政治生命も問われるようになるかもしれない。その教訓として、ロシアのウクライナへの侵攻の影響を中国も観察している。

ウクライナへの戦争はロシアの疲弊を加速させ、プーチン大統領の政治生命は限界が見えるようになっている。彼が国家指導力を失った後のロシアは国家が分裂する可能性さえある。またプーチン大統領の重病説は消えることなく続いている。更に、中国のライバルとしてインドが台頭して来ている。

そうは言っても、仮に中国が台湾への侵攻を開始するとした場合、それは米国のマイク・ミニハン大将は2025年、ペンタゴンは2027年に起きると憶測している。

しかし、米国が台湾に軍事支援するためには、日本の米軍事基地をベースにしないと不可能である。仮にそうなった場合に、中国が日本に対して「米軍を支援するのであれば、日本に中国と北朝鮮から核をぶち込むぞ」と脅せば、多くの日本国民は戦争参加に躊躇するであろう。

何しろ、世界価値観調査で18歳以上を対象にした「戦争が起きた場合に国の為に戦うか」という質問に、戦うと答えた日本人は僅か13%しかいなかったという結果が出ている。これは世界で最も低い率である。

平和ボケで国を守る意識が欠如している。それを知ってか否か、航空万能論GFは台湾が中国に攻撃されても74%の日本人は自衛隊が米軍と一緒に戦うことに反対していると台湾メディアが報じたことを挙げた。

台湾人にとって「日本はいざという時は頼りにならない国だ」と思われているのである。

第一列島線を中国の領海域にさせてはいけない

仮に中国が台湾に侵攻して占領した場合、中国は第一列島線を制海権にするようになる。そうなると、日本の食料やエネルギー資源の世界からの供給が難しくなって来る。よって、台湾が中国の支配下になれば、それは日本の死活問題に繋がることは肝に銘じておく必要がある。

日本の輸入依存度を主な食料で見ると、トウモロコシ100%、大豆93%、小麦87%、砂糖類69%、果実57%、魚介類46%、肉類45%となっている。

肥料に必要な37%、リン酸90%とそれぞれ中国から輸入している。

次にエネルギーで見ると、鉄鉱石100%、石炭100%、原油99.7%、LNG97.8%、LPG73%となっている。

これらの物資は第一列島線の領海を航海して日本に到着している。台湾を中国が支配するようになると、この航路が保障されなくなる。そうなると、日本の国家存亡に匹敵する危機を招くようになるであろう。

このような意味において、台湾有事は絶対に避けるべきなのである。はたして、頼りない日本政府が戦争回避にどこまで貢献できるか、これもまたひとつの大きな疑問である。