どうなる、ジャニーズ?:「臭いものに蓋をする」マスコミ

そごう西武労組の熱い夏の戦いが終わりました。もっと早い段階でストを打ち、長期戦に持ち込む覚悟があればよかったわけで組合の姿勢は買いますが中途半端で残念でした。私は労組もヨドバシも負けになると申しました。労組はヨドバシに懐柔されて一体感は取れなくなるでしょう。次はヨドバシですが200億円かけて改装するそうですが、新宿西口の小田急、京王がやるような建て替えを進めないと池袋そのものが勝てないでしょう。ヨドバシは小売業者故にデベロッパーのセンスは欠落です。そしてセブンが売却で手にするのが8500万円ってシブ過ぎです。既存テナントからの訴訟リスクもあります。井坂さんは今頃、どんな酒を飲んでいるのでしょうか?

では今週のつぶやきをお送りします。

とりあえず9月利上げは消えた???

ジャクソンホール会議ではパウエル議長の「出る杭は打つ」ならぬ「上がるインフレは叩く」的な発言でしたが新味がなく、市場は9月は利上げなし、11月に状況次第では最後にもう一度か、という読みに結論付けました。今日発表のアメリカの8月度雇用統計は事前予想を上回っていますが、18.7万人増で留まり、失業率は0.3%ポイント悪化して3.8%となりました。7月分も大幅な下方修正となり、雇用は落ち着いたことを改めてデータで証明しました。

注目は9月13日発表の消費者物価指数でこちらは正直こびりついた物価高と原油価格上昇でインフレ悪化が見込まれます。FOMCは9月19-20日なのでこの辺りが読みどころですが、インフレになっても消費が強くなければ需給バランスが崩れるだけで利上げは逆効果になるので需給の自然調整力を期待して9月は利上げなしと希望的観測が強く出そうです。となれば、一時的には株式相場にはプラスになります。個人的には9月中旬までは大丈夫ですが、その後は怖くて仕方がないのです。魔の10月は決して忘れないように。

日本の株式市場ですが、製鉄と銀行が安定上昇しています。製鉄の上昇は景気の腰が強いことを意味します。銀行も同様ですが、むしろ長期金利上昇→各種ローン金利引き上げ⇒銀行収益上昇がシナリオです。住宅ローンは安い金利を提供し続ける三菱UFJに対してみずほやりそなは血みどろの戦いから一歩引いて戦略を変えている点は称賛です。一方、円安はそろそろ一休みになってもおかしくないので輸出関連はお休みかもしれません。

岸田氏の内閣改造

野村哲郎農水大臣の「汚染水」発言で岸田首相が激怒したとされます。テレビに映し出される野村大臣は歩き方はよたよた、しゃべりも原稿を見てぼそぼそ、いくら何でも大臣としての見栄えは必要です。酷い閣僚人事だったと言えるでしょう。思うところ、自民党の派閥の枠組みが党内の適性人事をゆがめ、才能ある人ややる気ある人を閣僚に出来ない苦しさが岸田氏の組閣にアリアリと出ています。「俺がこんなに頑張っているのになぜ、足を引っ張るんだ!」と「ムンクの叫び」ならぬ「キシダの叫び」が聞こえてきそうです。

岸田氏の世間一般の評判は良くないし、方向としては悪化しています。得意の外交でも中国と厳しい関係に入り、目先外交で花咲きそうなことはありません。その中で個人的には時給を30年代半ばまでに1500円にするという目標を立てたのは正解だと思います。単純計算すると毎年3%強の引上げになり、インフレ率が2%台に収まれば実質所得が上昇するというシナリオになります。また処理水を巡り中国の水産品の輸禁を手玉に取り、ならば日本から直接輸出すると発想を切り替えたのも大正解です。(ホタテなどは中国で加工して輸出していたものを日本で機械化して直接輸出しようというもの。)

マイナンバーは未だにぐずぐずいう人がいますが、あれはマストで進めましょう。反対派はズルをしている人とみなす、ぐらいのスタンスでよいでしょう。さて内閣改造や解散説もあるようですが、個人的には9月改造説に一票です。一部の人の処遇がとり沙汰されています。茂木、高市、河野各氏については茂木、河野氏は留任、高市氏は存在感が薄くなったので代わりに小渕優子氏の抜擢が希望的予想。岸田氏の駒が限られ、安倍派も締まりがなく、5人衆では本命の萩生田光一政調会長も飛び出せない結果の中で自民党の潜在能力をどこまで発揮できるかが勝負どころではないでしょうか?

どうなる、ジャニーズ?

外部専門家による調査報告がなされたジャニーズ問題。その報告では藤島ジュリー景子氏の辞任は不可避としました。理由は同族経営の弊害。私がビックモーターとジャニーズ問題をひっかけて話題を振ったのもそこに共通点があります。ビックモーターの場合、同族ではない方が社長になりましたが、実質的には父と息子が操る構図には何ら変わりありません。同様にジャニーズも仮に藤島氏が辞任しても株主としては君臨するのでそのあたりのさじ加減が難しいところかと思います。

日本が不思議なのはこれだけジャニーズの元メンバーたちが被害を訴えているのにファン層からは声が全然聞こえてこないし、マスコミやメディアもジャニーズ外しはしません。パンドラの箱を開けたBBCも想定外の低い反応に驚いていることでしょう。日本では「臭いものに蓋をする」という立派な諺があります。見ないふり、聞こえないふりなのです。その中で少しずつ進むジャニーズ離れで滝沢秀明氏がジャニーズの経営方針に反対をしてTOBEを設立し、若手を中心に彼の事務所に移る人が増えています。

赤坂にあるジャニーズ事務所 NHKより

ジャニーズ事務所次期社長には一部では滝沢氏待望論もあるようですが、それはないでしょう。では筆頭候補の一人、東山紀之氏になるのか、外部招聘なのか、更にはSMAPの育て親、飯島三智氏の名前まであがります。少なくともいえるのは仮に現勢力にくぎを刺す人を選ぶなら新社長が4-5人仲間を連れてくる体制にしないと今の藤島派は一掃できません。わかりやすく言えば日大に一人で乗り込み、理事長に座った林真理子氏のように裸の王様になりかねないということです。思うにジャニーズは独特の空気がある組織故に個人的には社長が変わっても激変効果はないだろうな、と思っています。

後記
外務省官僚と懇談する機会がありました。私が訴えたのは2つ。海外日系社会において明白なバリアとなりつつある日本人と日系人をどうするか、2つ目は細りゆく日系社会をどう維持するか、です。日系人の明白な定義はなく、自己申告に近いのです。自分に日本人の血が混じっていても「だから何?」という人も増えました。一定年齢の日系人は戦時中の資産没収やキャンプへの強制移動に関して日本政府への恨みもまだ続きます。細りゆく日系社会とは日本人の移民は増えども、日系社会への参画は興味なしの人だらけで海外の日本人のプレゼンス維持は実に難しいものがあるのです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年9月2日の記事より転載させていただきました。