中国の政治的意図による過激な反応

石破茂です。

福島原発からの処理水排出開始から一週間、中国の政治的意図による過激な反応には閉口するしかありませんが、あれほどまでに非科学的な主張をヒステリックに繰り返すところを見ると、共産党の統治体制に何らかの不安があるのかもしれません。

人口の急減と急速かつ大規模な高齢化、地域間や階層間の格差拡大、脆弱な医療福祉体制、不動産バブルの崩壊などの経済不安等々、中国が抱える課題は山積しています。あくまで共産党の軍隊である人民解放軍による国民の抑圧と、メディア統制を駆使した共産党一党支配体制は絶大な効果を発揮してきましたが、それも「経済は成長し、国民は豊かになる」という実感があってのことであり、これが怪しくなってくるといかに強権的な支配を行なっても、鬱積した人民の不満が爆発して共産党が最も怖れる「易姓革命」が起こりかねません。

日本としては、中国の姿勢にいちいち過敏に反応することなく、国際社会に向けて「やはり中国の主張はおかしい」と思うよう、着々かつ淡々とあらゆる効果的な手法を用いるべきです。

昨年11月、IAEAの福島視察が発表された際には、中国は「日本はIAEAの厳格な基準に従うべき」と言っていたはずなのですが、日本の主張を認める判断が下ったら、それについて一切言及しないのはどういうわけなのか。

IAEAに対して異議を申し立てるなり、第2位である資金拠出を停止するなりしてもよさそうなものですが、そうはせずに一方的に日本の批判ばかりしているのはどういうことなのか。

2016年、南シナ海仲裁裁判所において、フィリピンとの間で南シナ海の島嶼部の領有権をめぐり、自国に不利益な裁定が出た際、「あのような裁定は単なる紙屑」と言い放った国ですから、隣国である我が日本は、今後一層心して対応していかねばなりません。

処理水の安全性について、自民党水産総合調査会としてもこれ以上ないほどに丁寧な周知に努めてまいります。また、一切の責任が無い漁業者が受ける損害に対しては、迅速に補償がなされるようよく注意してまいります。

故意によるものかどうかはともかくとして、一部報道で、まるで海に処理水をそのまま流しているかのような映像が使われているのは是非とも改めていただきたいものです。日本のメディアでありながら、中国の主張を利するようなことにならないか、いささか気がかりです。

処理水は海底トンネルを通して1キロ先の海中に放出されており、陸から水が流れるような映像の方法は採っておりません。諫早干拓の水門開門の是非が争われた裁判についての報道でも、水門閉鎖の映像が事ある毎に放映され、その印象によって干拓事業に対するネガティブなイメージが広まる結果となりました。

福島第一原子力発電所 Wikipediaより

今日から9月、この時期になって、赤坂議員宿舎周辺の樹々からつくつく法師の鳴き声が聞こえないのは、赤坂宿舎に住んで20年近くになりますが初めてです。

8月も終わり近くになると、それまでのミンミンゼミやアブラゼミに代わってつくつく法師が一斉に鳴き始め、夏の終わりの寂寥感を感じるとともに、まだほとんど手付かずの夏休みの宿題(特に読書感想文と自由研究)を仕上げねばならない焦燥感に駆られたものでしたが、この齢になっても同じような思いが致します。

子供の頃、焦燥効果絶大なあの鳴き声を聞く度に「うるさい!鳴くな!」とばかりに蝉捕りの網を持ち出して,一匹残らず捕ってしまおうかとの凶暴な思いに取り憑かれたものでした。

先週に引き続き、今週も台風7号による鳥取県内の被災地を廻ってまいりました。政府にも誠心誠意対応して頂いておりますが、現場に行くほどに被災の大きさに愕然とする思いです。早急な復旧のために更に微力を尽くします。

台風で樹園地への土砂流入や落果等の影響を受けたものの、今年の20世紀梨はかなり良い仕上がりとなっています。見た目も青々と美しく、味も爽やかな鳥取の20世紀梨を御賞味頂けれは大変幸いですし、新品種の「新甘泉(しんかんせん)」も人気です。何卒よろしくお願い申し上げます。

関東大震災から百年の節目となりました。災害の激甚化と多発化の昨今、防災省の設置につき更に思いを強くしております。

また、朝鮮人虐殺についても、これを風化させることなく、真摯な検証が必要です。安全保障や処理水問題について、韓国の現政権が厳しい国内批判を浴びながらも日本に理解のある姿勢を維持している中、日本もこれに誠実に応えなければならないと思っております。吉村昭の「関東大震災」(文春文庫)をもう一度読み返してみたいと思っておりますし、今週読んだ「関東大震災がつくった東京」(武村雅之著・中公選書)からも幾多の示唆を受けました。

鹿児島県徳之島に所在する伊仙町犬田布(いぬたぶ)岬にある戦艦大和の慰霊塔が老朽化し、伊仙町役場が中心となって修復に向けたガバメントクラウドファンディングを行なっています。日本一の出生率を誇り、世界自然遺産の島でもある徳之島伊仙町は、平和祈念の町でもあります。多くの方々のご賛同を心よりお願い申し上げます。

世界平和のシンボル「戦艦大和を旗艦とする特攻艦隊戦士慰霊塔」を次世代の子どもたちに守りつなげたい|ふるさと納税のガバメントクラウドファンディングは「ふるさとチョイス」
伊仙町の景勝地・犬田布岬には、「戦艦大和を旗艦とする特攻艦隊戦士慰霊塔」という歴史的建造物が建立されており、今も多くの人たちが訪れ平和を祈る場所であります。1968年(昭和43年)5月23日に第1回となる慰霊祭が行われ、以来、毎年4月7日には中止することなく56回の慰霊祭を行っております。しかし建立から約55年が経過し...

残暑厳しい折、皆様どうかご健勝にてお過ごしくださいませ。


編集部より:この記事は、衆議院議員の石破茂氏(鳥取1区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2023年9月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は『石破茂オフィシャルブログ』をご覧ください。