「三方よし」こそ、ビジネス判断の基本

近江商人が商売に当たっての行動規範として定めたのが「三方よし」です。

三方よしとは、「売り手によし、買い手によし、世間によし」を指します。

私は無意識のうちに、ビジネスをやるかやらないか迷った時、この「三方よし」が成り立つかどうかを判断基準にするようにしていることに気が付きました。

ビジネスを展開する上で、まず当たり前のことですが、自らが利益を得る必要があります。最初から利益を求めないのは、ビジネスではなくボランティアです。

しかし、一方的に自分の利益だけを追求するのではなく、顧客やビジネスパートナーにどのようなメリットがあるのかを考えることも重要です。

一方的に自分だけが利益を上げるやり方では、相手が不満を感じるだけです。相手にも利益がなければ、目先はうまくいっても、長期的には商売として成り立ちません。

それだけではありません。世の中にとって意義がある商売でなければ、社会に受け入れられることもなく、これも存在価値はないと言えます。

自分、相手、そして社会。それぞれにメリットがなければ、そこには何か構造的な問題があると考えるべきです。そうであれば、もし自分に利益があったとしても、積極的に進めるべきではないのです。

私は2012年に資産デザイン研究所を設立してから、まもなく11年になろうとしています。

やみくもに会社を成長させ、規模を拡大させることには最初からあまり興味がありませんでした。それよりも、自分の周りにいる人たちに自分にしかできない価値を提供し、それが社会にとってプラスになる。そんな仕事のやり方を続けてきたように思います。

設立当初からのそんな想いが、最近さらに強まっています。更に大きな利益を追求するよりも、周囲の人たちや社会に受け入れられることに価値があると思っているからかもしれません。

最近も、自社の利益のために相手と社会を犠牲にするような誤った判断をしてしまい、存亡の危機に瀕している会社が連日メディアに糾弾されています。確かに急成長はできたのかもしれませんが、社会にとって必要のない存在であることが結局は致命傷となりました。

カウンターパーティや社会から後ろ指を指される仕事だけは、これからもやらないようにしたいと強く思います。