繁殖を忘れた人間:アフリカやインドの人口増加率も遠くない時期に止まる

YouTubeで時々、川や沼釣りの番組を見るのですが、外来種が大繁殖している話題を多く見かけます。外来種はひょんなことからその河川や沼で生存していたものの天敵がないため、大繁殖することが多いのです。

カメ一つにしてもアカミミガメ、クサガメ、カミツキガメなど外来種が増え続けており、川底をあさったらカメだらけというケースも見られ、1匹、2匹をかわいいと水槽で飼うレベルではなくなっています。

海底火山の爆発で拡大を続ける東京都の端、西ノ島はもちろん無人島ですが、最近はそれなりに生物も繁殖しつつあります。その中で大繁殖しているのが何とワモンゴキブリ。日本の面積が増えたと喜ぶ反面、ゴキブリに占拠された島と化しています。理由はその昔、何らかの理由で島に着けた船からゴキブリが「移住」し、生存競争に勝ち抜いたというわけです。

種の繁殖と保存は生物界の大原則でありますが、人間に関して言うとその繁殖を自己コントールし、繁殖そのものを今や否定する動きすら出てきています。

例えば中国が長年取っていた一人っ子政策は酷いものでした。男系が欲しいゆえに女児の場合はどこかに上げてしまうという無謀なことすら多々起き、人為的操作とも言える選り好みをした結果、男子と女子の比率が悪化するという珍現象も起きてしまいました。中国の人口問題は恣意的に行ってきた政策を止めたのが2015年、それから8年たった今、その影響に対して対策は困難で社会問題化しています。

先進国における少子化は東アジアと一部の東南アジアが最も深刻ですが、欧州でもかなり深刻な問題となっています。なぜ子供を作らないか、というよりなぜ子供を作らねばならないのか、と逆に質問される時代です。親が子供に「そろそろ結婚」「そろそろ孫の顔」という時代は当の昔に終わっています。もちろん、健全に結婚して家庭を作り、子供を作りたいというご家庭は今だ主流でありますが、かつてはその一択だったものが今は「何拓も」選択肢があるのです。

どういうことでしょうか?かつての選択肢とは結婚しないで独身を貫くという意味でした。今では同性同士のパートナーという関係も選択肢の一つあります。では最新の選択肢は何でしょうか?

仮想空間の相手と結婚/パートナーとなるのです。VRなどで会える完全に非現実の相手ですが、AIを通じて会話が出来、かつ、会話を重ねればデータをどんどん取り込むのでより会話はスムーズになり、自分だけの花子ちゃんとか美子ちゃんができるわけです。夜、仕事から戻ると「花子、帰ってきたぞ」「おかえりなさい、太郎さん」というやり取りから始まる2人だけの世界が展開されるのです。

当然そこには生殖機能も生殖の機会も無いと思われるので繁殖は出来ません。前述の同性同士のパートナーも繁殖能力は無いですが、養子縁組する同棲カップルは多いとされます。VRに於いて養子縁組をすることが可能かどうかは個人的に想像の域を超えています。

なぜ仮想空間の相手と一緒になろうと考えるのでしょうか?私もカナダでアニメのイベントに出ながら客の特徴をつかもうとずっと見て考えていたのですが、基本はミーイズムの進化系だろうと考えています。つまり、男性にしろ、女性にしろ、適齢期になり本来なら異性を意識するはずなのに異性の嫌な部分を見たり、面倒くさくなることで「妥協したくない」自分が生まれるのです。

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私は世界的ゲイのメッカ、バンクーバーでその昔はゲイクラブに通い、ゲイの友達と遊んでいました。その中にはいろいろな人がいるのです。「Youは何故ゲイに」と聞けば先天的な方もいましたが、「昔、付き合っていた彼女と嫌な思いをした」といった後天的影響の人もそれなりにいた記憶があります。

また、30年近く前ですとまだゲイの社会的身分はバンクーバーでも確立されておらず、ビジネスマンには「両刀使い」と称する人が割といました。ゲイが表立ってOKではなかったので女性と自分の本心に偽って結婚をし、子供も作る、だけど実は自分は同性愛者故に社会的地位を得た頃に離婚し、カミングアウトするなんて言う話は驚く話ではありませんでした。

日本のお父さん方も子供作ったら家に帰らず、仕事や夜遅くまでの接待といいますが、もしかすると別の理由があって「会社と両刀使い」なのかもしれません。

人間は高度に発展した動物でありますが、発展と共に繁殖を制御することを意図的に推し進めているようにすら感じます。実はもっと恐ろしい話があって人の脳の記憶をディバイスに移植しそこにAIを投じることで死んだはずの親や身内と肉体の死後もやり取りが継続できる、ということを研究開発しているそうです。薄気味悪い話です。青森、恐山のイタコが失業してしまいます。

これが人類の繁殖とどう影響するかといえば思想の輪廻が進まないだろうと思うのです。わかりやすく言えばサザエさん一家が何十年経っても年齢が一つも増えないのと同じで人間の本来持つ家系の継承が思想的に進まなくなるのです。

現在、アフリカ当たりではまだ人口増加率の問題を抱えていますが、個人的には国際機関の予想をはるかに下回る人口増加率になるとみています。インドの人口増加率もさほど遠くない時期に止まるとみています。

増えない人口について地球上には人口は十分、増えたからもういい、という意見は当然のように出てきます。これが進化した人間の人口抑制論。しかし、インフレと経済成長の話と同様、増えない人口の中、人類がどう繁栄していくのか、SFの世界に近いものがありそうです。50年後にひろのこのブログを見て「へぇ、ひろはあの時にこんなことを言ったのか」と思われたらジョージオーウェル並みということになりますかね?笑

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年9月17日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。