有事に自ら崩壊する日本:日本崩壊の3つの要因

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日本崩壊の3つの要因

中国からの脅威の前に日本は軍事力の強化を図る方向に向かっている。しかし、日本有事という危機が迫った時に日本は自ら崩壊の道を辿るであろう。それには3つの要因がある。

  1. 日本はエネルギー資源と食料への外国からの依存度が極端に高い。
  2. 国を守る意志を持った国民が世界最低のレベル。
  3. 政府の借金が高額すぎる。

自給率の低さから戦争はできない

まず、1番目のエネルギー資源と食料の輸入への依存度が高いことについて言及したい。仮に戦争が発生すると、この2つの資源の輸入に支障を来すようになる。そうなると日本国民の生活に窮状が迫られる。

戦後から現在まで戦争の経験もなく70余年なに不自由なく生活して来た平和ボケの国民だ。食料不足が長期に亘って発生する。恐らく国民はパニックになるであろう。それはあたかも武器があっても銃弾がないのと同じだ。このような状況では戦争などできない。

2014年度だと日本の食料自給率は39%。主な食品の自給率は小麦13%、大豆7%、果実42%、でんぷん9%、肉類55%、魚介類60%、牛乳と乳製品63%など。尚、小麦、牛肉、豚肉などは米国が主要サプライ国であるから、第1列島線とは別のルートから日本に輸出できる可能性はある。

【参照】日本の食料自給率と食料輸入先

エネルギー資源となると、日本のエネルギー資源の自給率は僅か12%しかない。

【参照】求められるエネルギー自給率の向上

石炭、原油、天然ガスはほぼ100%輸入に頼っている。この場合、第2列島線のルートから輸入せねばならなくなる。それは所要日数や費用の面でも当然高くなる。

嘗て日本はラテンアメリカと強い絆をもっていたが、その関係が現在は生かされていない。安倍政権の時にラテンアメリカを訪問して関係の強化に動いたが、日本外交は継続性がなく断続的なので深い繋がりができない。中国は現在ラテンアメリカとは米国以上に強いパイプを持っている。それも習主席が1990年代から訪問開始した後も大臣クラスが頻繁に訪問して関係を強化した。

南米は自然資源に恵まれた地域で、そこから日本への輸入ルートは第1列島線を通過する必要がない。その意味でラテンアメリカでの日本外交は中国が1990年代から活発な動きをしたのを見せるより以前は日本の方がラテンアメリカとは強い関係を持っていた。その意味でここでも日本外交は30年余り無駄な時を過ごした。

この二つの資源の自給率において日本はG7の中でも最も低い自給率であり、それが現在まで改善されていない。以前にも筆者が取り上げたが、仮に台湾有事となった場合に中国は第1列島線の制海権を支配しようとする。その場合に日本と韓国への輸入海路が塞がれる可能性が高くなる。

現状では日本は中国には勝てないのは誰の目にも明らかだ。唯一、対抗できるのは日米印豪のクアッドが連携して中国に立ち向かう時だけだ。

戦うことを拒否した世界でNo.1の国

次に2番目の点を取り上げると、世界数十か国で2017年〜2020年に行った調査で「もし戦争が起きたら国のために戦うか?」という問いかけを79ヶ国18歳以上の男女1000〜2000人を対象にした調査で、日本は「戦う」と答えた人が僅か13.2%という最低の結果が出ているということ。

更にショッキングなのは48.6%が「戦わない」と回答、未回答が38.1%という結果が出たのである。即ち、87.7%の日本人は日本を守る意志が完全に欠如しているということなのである。例えば、韓国だと「戦う」と答えた人が67.4%もいる。「戦わない」と回答した人も32.6%いる。韓国人は意思表示を明確にしている。

日本の次に戦うことを否定した国はリトアニアの32.8%である。即ち、日本の戦うことを表明した人が僅か13.2%しかいないというのは異常である。恐らく、それは戦前の歴史を否定して国を愛することを教えなかった戦後の教育に欠陥ありと筆者は思う。

極論を言えば、愛国を謳うと極右者だと断定されるような社会にしてしまったのである。そして「非武装中立」といったイデオロギーが日本の社会で長くまかり通れたのである。このようなイデオロギーを生んだのも戦後は戦争もなく民族闘争もない社会が長く続いたせいであろう。

その影響がこの調査で如実に現れたのである。そのような社会を前にして日本がいざ戦争に巻き込まれそうになった時に日本国内では戦争反対というデモで溢れることであろう。仮に台湾有事に腕を組んで何もしないでいると、結局日本はエネルギー資源そして食料も不足し、独立さえ危ぶまれるようになるのである。

筆者がこのような危惧を表明しているのは果たして誇大妄想であろうか?いや、それが現実に日本が直面することなのである。

国の借金が多額過ぎて戦争などできる状態ではない

次は、3番目の国の借金が高額過ぎるということだ。今ではこのまま借金を続けても日本は財政破綻しないという理論も生まれている。しかし、これも空想論でしかない。

世界が日本だけであれば問題はない。しかし、日本の毎年発生する財政赤字を国債を売って補填している。国債を国内で捌ききれなくくなれば外国のファンドに高金利で販売せねばならなくなる。日本円の国債だから大丈夫だとして売却を続けるようになって借金は今後さらに膨らんで行く。その過程で、戦争に見舞われると巨額の資金が必要になる。

その時点で巨額の国債を売却しようなど企んでもそれは日本円の世界での暴落を生むだけである。しかも、日本の場合は日銀が政府のご意見番の役目を果たさねばならないのに逆に政府の言いなりになっている。

だから戦争に直面するともう引き出せる資金が底をついているいう状態になるのである。それでも必要なだけ紙幣を発行し続ければ現在のアルゼンチンのようにハイパーインフレに陥る。今年のアルゼンチンのインフレは130%を超すと予測されている。そしてアルゼンチンの国民の40%が貧困層だ。子供の貧困は50%。

このような事態に成らないとは保証できない道を今の日本は歩んでいるのである。