ANA・JALの国際線の存在価値はどこにあるのか?

今回のフィリピンへのスタディーツアーでは、ANAを使いました。日程の制約からマイルを使ってのフライトの予約ができなかったので、ビジネスクラスを航空会社のサイトから通常予約しました。

燃料サーチャージなどを含めて、約26万円です。

ツアーに参加している資産設計実践会メンバーが、ANAではなくほぼ同じ時間帯のジップエアーのフライトで成田からやってきたと聞きました。

最近よく名前を聞く航空会社だと思い調べてみると、どうやらJALの100%子会社のLCC(格安航空会社)のようです。

LCCと聞くと、価格は安いもののサービスが悪く、シートも狭くて乗り心地が悪いというイメージで、あまり良い印象がありません。

ところが、ジップエアーにはLCCながらフルフラットになるビジネスクラス仕様のシートもあり、フィリピン往復で約10万円。ANAのビジネスクラスの半額以下です。

ただし、出発前のラウンジや機内食などのサービスはついておらず、利用したい場合オプションで有料となります。また、機内にはテレビがついておらずエンターテイメントが楽しめないそうです。

しかし、今やANAのビジネスクラスラウンジは、いつも混雑しまくり、大したサービスも提供されていません。

またフィリピン便で提供された機内食(写真)もあえて食べる必要のない残念な味わいでした。

私は映画や音楽などの機内エンターテイメントも最近はあまり利用することがありません。今回も食事以外はほぼ爆睡しており、全く利用することはありませんでした。

私のような利用者の場合、ジップエアーのシンプルなサービスで十分な気がしてきました。フルフラットシートで快適な座席さえあれば、他のサービスはなくても良いのです。

それによって16万円も費用が削減できるのであれば、やらない手はありません。

ジップエアーはフィリピンマニラだけではなく、アメリカの西海岸などにも就航しているようです。

今後、さらにルートが増えれば利用する機会も出てきそうです。

以前のブログに書いたように中東系の航空会社に比べ、日本の大手航空会社のサービスはもはや太刀打ちできません。そこにコスト面でも強力な競合相手が出てきました。

JALが敢えて子会社を使ってまで競合するサービスを提供するのは、既存の国際線サービスに危機感を感じているからでしょう。

CAがシートベルトのチェックと荷物の収納ばかりに気を遣って、上客にペコペコと挨拶している日系航空会社の国際線の生き残る道は、果たしてどこにあるのでしょうか?

JAL(日本航空) HPより


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年9月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

アバター画像
資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。