退廃する社会主義国キューバでは市民への保護に政府は無関心
社会主義の退廃をキューバに見ることができる。指導層だけ裕福な暮らしをして市民は貧困に喘いでいる。国営事業に発展はなく、生産性は著しく低く、
国は衰退の一途を辿っているだけ。そして官僚が多すぎる一方で、市民が働ける場所は少ない。
そして今では輸出できる品目も非常に僅かで、その為外貨は常に不足。だから輸入せねばならない食料も十分に輸入できない状態だ。唯一の外貨獲得源は観光と医療団の海外派遣だけである。
キューバに成長がみられたのは唯一他国に寄生虫のごとく吸いついていた時だけだ。最初はソ連、その次がベネズエラという具合だ。この2国とも崩壊した今、キューバはどこからも経済支援を受けることができない故に国全体が貧困状態にある。
若者は外国で働くことを希望
だから特に多くの若者は外国で働ける機会を探している。そのひとつがロシアへの移民だ。ロシアへはビザなしで入国して90日は滞在できる。その間に仕事を見つけるという方法だ。ところが、ロシアはウクライナ戦争に突入してから戦闘員が不足するようになっている。そこでキューバ国内でロシアで職場があると言って若者を斡旋しているペテン師が登場している。実際にはウクライナに戦闘員として送るためである。その被害者のことがスペインの数紙が9月6日付で一斉に報じた。
それによると、アドルフォ・ベラスケスとアレックス・ベガの二人はキューバで二人の女性からロシアで月給およそ2000ドルで働ける仕事があると勧誘を受けた。その数日後に彼らはモスクワに向かった。搭乗した飛行機には200人以上のキューバ人がいたという。到着するとパスポートなど預けるように要請され、ロシア語で書かれた契約書に署名するように言われたそうだ。その訳を依頼すると否定されたという。帰国することも許されず、留まっていた病院から強引に連れ出され拷問を受けたあと軍隊の制服と銃を与えられてウクライナ送られたそうだ。軍事訓練は僅か1週間。
乗っていたバスからSOS
ウクライナからロシアの都市リャザンに戻る途中乗っているバスからビデオを送って救出を要請した。それを手に入れた米国マイアミのAmerica Tevéがこの事件を報じて彼らのことが知られるようになったというわけである。
更にAmerica Tevéが傍受した他のキューバ人数名からの報告によると、彼らのひとりは何か教室のようなところに送られたそうで、そこには18名のキューバ人がいたそうだ。そこで医師の検査を受けたり必要な手続きをさせられたという。
キューバ政府はこのような斡旋業者がいれば断固取り締まるとしているが、彼らキューバ人の証言によると、旧ソ連を構成していた国々は市民にそれに関与しないように言っているのに、キューバ大使館は彼らを保護することに関心がない、と語っている。ウクライナ紛争が起きた当初からキューバ政府はロシア政府に味方していたことからもそれが理解される。
ロシアに依存しているキューバ政府は国民を犠牲にしてロシアから生活の糧を得ることが目的なのである。その為にはウクライナとの戦いにキューバから戦闘員が加わるのはキューバ政府にとっては歓迎することなのである。社会主義の成れの果てをキューバに見ることができる。