中・高校生に見られたコロナワクチン後遺症:慢性疲労症候群

小島 勢二

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成人と比較して低いとはいえ、わが国の12〜19歳のコロナワクチン接種率は、2回接種済みが69%、3回接種済みが44%に達している(2023年、10月17日現在)。

厚労省の説明によれば、現時点において、ワクチンが原因で後遺症が起きるという知見はない。そのためか、中・高校生が、ワクチン接種後に遷延する症状を訴えても、医師や学校関係者に、耳を傾ける者が少ないのが実情である。周囲の無理解が、患者・患者家族を更に苦しめている。

新型コロナワクチン接種後の健康被害を訴える患者の会が結成され、7月24日に厚労省で記者会見を開いたが、その後も、ワクチン後遺症への理解が社会に浸透したようには思えない。

患者の会には10代の会員が57人いるが、成人とは異なる問題点を抱えている。今回、その悲痛な訴えを紹介する。手記の公開は、患者家族の了解を得ている。

A太さん(仮名)12歳男児(ワクチン接種時は11歳)

私の息子は、もともと健康で、スポーツが大好きで、風邪もひかない子でした。

それがコロナワクチン接種後、突然激しい頭痛が息子を襲うようになりました。続けて、倦怠感、疲労感、そして、疲れやすく、回復しにくい体になりました。頑張っていたスポーツも、飛んだり跳ねたりすると頭痛が襲い、身体がとてもだるくなるので、やめざるを得なくなりました。信じられないのです。あんなに健康で元気だった子が、急に変わってしまうなんて。

治療をしても劇的に良くなるわけではなく、むしろ慢性的に疲労を感じるようになり、朝も起きられなくなってしまいました。毎日元気に学校に行けません。毎日疲労感により起きられず、頭が痛く、しんどいのです。少しの散歩ですらできないのです。

一年以上経っても元の元気な体に戻る兆しが見えないので、本人は治療をする事自体を苦痛に感じています。保険がきかない高額な自由診療や水素吸入などの医療機器や様々なサプリメントといった治療に費やす時間やお金も無駄だと言って、回復する事をあきらめ、治療を中断し、生きている事すら悲観するようになりました。彼はもう死んでもよいと思っているのです。治療をしなければ死んでいくかもしれないのに、治療を継続する事でさらに精神的に追い詰められています。周りから、政府から、ワクチン後遺症を認められない事が、彼をもっと苦しめています。

息子が打ったワクチンは2回とも、政府がコロナワクチン接種による死亡を認めた11歳のお子さんや後遺症を認められた他のお子さんが打ったワクチンのロット番号と同じFN5988です。私は、息子に問題があったのではなく、打ったワクチンが劇薬もしくは毒薬だったのだと信じています。

息子を元の身体に戻して下さい。

世界的なプロのスポーツ選手になりたかったのです。

【2023年10月13日メール】

息子が全然良くならず、衰弱していっているようにも思えます。

「ぼく、全然治らない。いつ良くなるの?」と息子に言われ、本当に私もどうしていいのかわかりません。親子ともに苦しんでいます。今日もまだ起きられず、意識もほとんどなく、寝たきりです。寝る時間が尋常ではありません。お昼すぎや夕方起きても、しんどくて、一日中ベッドで過ごし、頭痛に加え、腹痛も始まりました。

息子は夏休みにリフレッシュできたことで、新学期が始まると楽しい学校生活を夢見て、胸をワクワクさせながら新学期を迎えたのですが、送り迎えは車でおこなうも、学校に行くと疲れ、次の日は行けないという状況が続きました。

前は一番ひどかった頭痛より、疲労感の方がひどくなってきました。頭痛もやはり毎日のように起こり、ひどい時はめまいが起こります。普通の生活をすると、とてもとても疲れるのです。

早寝しても一度寝ると15時間くらい眠り、朝起こしても意識がないほど深くしんどそうに眠っています。起立性調節障害のひどい症状のようなものです。何度も起こされた事も全く知らず、午後になって起きてから、「ママどうして起こしてくれなかったの?」と言って、とても残念そうにします。

1日24時間のリズムが滅茶苦茶になり、夜寝られない日も出てきています。一旦起きると、眠たくならないようで、放っておくと朝まで起きていられます。睡眠障害です。学校がある日は絶対夜は早く寝ようと決めましたが、寝ようとしても寝られず、寝ると起きられない事も分かっているので、本当にどうしても学校に行きたかった時には、夜眠らず、朝までずっと起きていて学校に行ったこともありました。

本人の意思に反し、健康児のリズムで毎日を送る事が厳しく、時々学校に行くことさえ無理なことになってきました。9月下旬からは起きてもしんどいことが多く、頭痛があったりして、起き上がることやちょっと歩くことすらできず、学校に行くことが厳しくなっています。ほぼ一日中寝たきりになったようにベッドの中で過ごしています。この3日間は腹痛も訴えるようになり、悪いものでなければいいがと願うばかりです。その倦怠感、疲労感は尋常ではないのだろうと思います。栄養もしっかり取っているのに、良くなるどころか、私には息子はどんどん衰弱していっているように感じます。

問題は、大きな病院に行って検査したいと思うのですが、それがコロナワクチンから来るものだとこちらが言うと、何度もお医者さんがとても怪訝そうな顔をされたので、ワクチンとはもう言いにくいことです。

息子は、せっかく頑張って学校に行こうと思っていたのに、疲れが回復せずとてもしんどいので、「ぼく、全然良くならない。もう良くならない」と漏らし、心が痛みます。息子は治るという希望を失いかけています。期待していないので、治療を積極的に受けてくれません。ストレスが一番良くないと分かってから、私も強く治療を勧めなくなりました。

学校が休みがちになってから、学校の先生から、お医者さんの診断書が欲しいと言われた事がきっかけで、息子が自分から「お医者さんに行った方がいいかも」と言いました。お医者さんに行ったときに、やっとお話ができて、先生から「栄養分はしっかり摂ってね。」と励まされました。先生から指導された事だけ聞いて、それだけは守って飲んでいます。ナットーキナーゼを取り寄せて、夏頃から飲んでいます。

表1は筆者が経験したコロナワクチン後遺症に悩む4人の中・高校生の臨床像を示す。4人ともA太さんとそっくりな臨床経過である。ひどい頭痛や倦怠感のために不登校が続き、休学や退学を余儀なくされている。

表1 ワクチン後遺症患者の臨床像

A太さんも含め、全員が慢性疲労症候群の臨床像を示している。慢性疲労症候群という病名は、単なる慢性の疲労と誤解されやすいことや重篤度が伝わらないなどの理由で、最近では、世界的に広く用いられている筋痛性脳脊髄炎という病名が用いられている。

慢性疲労症候群の原因は不明ではあるが、遺伝子、免疫、ホルモン、神経系と多方面からその原因が研究されている。感染後に発症する慢性疲労症候群も知られており、なかでもヒト6型ヘルペス(HHV-6)との関連を示す多くの研究報告がある。

HHV-6の初感染は乳児期にみられる突発性発疹を引き起こす。その後、生涯にわたって潜伏感染するが、時折、再活性化する事がある。免疫抑制状態で再活性化すると、重篤な症状がみられることがある。

コロナワクチン接種後に慢性疲労症候群を発症した4人のうち、2人に帯状疱疹、舌苔(口腔内カンジダ症)など免疫抑制状態を示唆する所見がみられたので、以下のような発症機序を考えた(表2)。

表2 コロナワクチン後遺症の発症機序

今回、HHV-6の検出を行ったところ、唾液から4人のうち3人において、通常では検出されない量のウイルスDNAが検出された。

最近、慈恵医大から唾液中のHHV-6が脳細胞に感染してうつ病の原因になることが報告されて話題となった(図1、引用1)。同じような機序で、HHV-6は慢性疲労症候群の原因になるのかもしれない。

図1 HHV-6がうつ病の発症リスクを増加させる
iScience,2020 Jun 26;23(6):101187

厚労省は研究班のアンケート調査の結果に基づいて、「ワクチン後遺症については現時点で懸念を要するような特定の症状や疾病報告の集中はみられない」と結論付けている。しかし、ワクチン接種後遷延する症状がみられる中・高校生は、全員が同じような臨床経過を示し、唾液から高濃度のHHV-6が検出されている。

筆者は以前、ロットによってコロナワクチンによる副反応や死亡報告に大きな差があることを報告した

ファイザーワクチンに見られる副反応のロット差
先の論考で、コロナワクチン接種後死亡数の頻度を検討したところ、2022年は2021年に比較して著減したことが判明した。 ワクチンの総接種回数は2021年が1億7千万回、2022年が1億6千万回と変わらないことから、20...

A太さんの母親も、打ったワクチンのロットに疑念を抱いている。母親の疑念を裏付けるデータはあるのだろうか。A太さんに接種された5〜11歳用のファイザーワクチンのロット別副反応報告数を示す(表3)。A太さんが打ったロットの報告頻度は、少ないロットの14.5倍である。母親の疑念を否定できない。

表3 5〜11歳用コロナワクチンのロット別納入数と副反応報告
2023年7月28日開催第94回厚生科学審議会資料

厚労省がコロナワクチン接種後の後遺症の存在を認めないことによって、患者・患者家族は2重の苦しみを負っている。母親の手記を読んで、ワクチン後遺症は存在しないと言い切れるだろうか。