オーバーツーリズムはもしかしたら「オーバー」なのかもしれない

京都と奈良に旅行に来ています。新幹線で京都駅に着くと、平日にもかかわらず、相変わらずたくさんの観光客で構内は溢れていました。

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外国人が半数以上を占め、アジア系だけではなく、世界各国からたくさんの人たちが集まっているのがわかります。

タクシー乗り場に並ぶのを諦め、地下鉄で二条城近くにあるホテルまで移動しました。地下鉄にもたくさんの観光客が乗っていて、お昼から混雑していました。

10月の観光シーズンなので混雑は覚悟していた京都でしたが、翌日に出かけた三十三間堂は意外なことに拍子抜けするほどガラガラでした。

ゆっくりと構内を歩いて、千体以上あると言われる大迫力の千手観音立像を時間をかけて鑑賞することができました。

そして、その後は今年の春のJR東海のCMで話題となった空也上人の仏像のある六波羅蜜寺にも行ってみました。

こちらも、CMの影響で超人気のスポットと思いきや、人気(ひとけ)はまばら。空也上人像をじっくり見ることができて、大満足です。

京都に続いて奈良にも出かけましたが、有名な薬師寺はいくつかの修学旅行のグループがいただけで、とても静かでした。

こちらでも国宝や重要文化財の仏像を、間近に心いくまで堪能できました。周囲の人を気にすることなく2時間以上滞在して、味わい尽くしました。

日本の観光地は、オーバーツーリズムで人が溢れていると言われています。確かに人出は多くなって電車や飛行機は混雑していますが、観光エリアでは特定の観光スポットに集中しているような気がします。

SNSなどで写真や映像が拡散され、注目を集めると、そこに観光客が殺到する。

京都の仏閣であれば、恐らく映像が大量に拡散されている清水寺や金閣寺には、たくさんの観光客が押し寄せているはずです。

飲食店も、いわゆる「インスタ映え」するお店には大行列ができていました。ところが、人が入っていない、予約が簡単に取れるお店も意外に多いのです。

また、人気店であっても事前に計画的に予約して席を確保しておけば、問題はありません。奈良の和食店(写真)は前回訪問した半年前に予約して再訪しました。

確かに観光客が増えて観光地に殺到しているのかもしれませんが、すべての場所に人が溢れているわけではない。

だからタイミングや目的地を工夫すれば、ハイシーズンでも余裕のある旅行ができる。そんな発見がありました。

オーバーツーリズムは、もしかしたらちょっと「オーバー」なのかもしれない。そう思えたのが今回の旅行の収穫です。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年10月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。