岸田首相は何故不人気なのか?:気になる保守系メディアの支持率の低さ

日経が調査した内閣支持率が最低の33%となりました。内閣支持率はほぼ毎週のように主要紙やNHKなどが順番に調査しています。かつてはメディアの色合いにより支持率に比較的はっきりした違いがあったのですが、岸田内閣に於いては本来支持率が高めに出るはずの保守系メディアで低くなっており、革新系メディアより低い場合もしばしばみられます。

岸田首相 自民党HPより

岸田氏は保守からも革新系からもそっぽを向かれているし、最近では外交に関してもG7の議長国なのに蚊帳の外ではないか、という厳しい声が聞こえてきます。(G7議長国はサミットだけではなくその年に開催されるG7関連の様々な会議は全て議長になります。)つまり、海外からもそっぽなのか、という話です。

10月23日には補欠選を受けて本ブログで「このまま解散せずに党首選になだれ込む可能性は現時点では否定できない」と申し上げました。有力議員に「岸田氏の後を継ぎたくない」、そう思わせる雰囲気が出てきているように見えるのです。

日経は内閣支持率が前回から9ポイントも下げた理由を「首相が表明した物価高対策としての所得税減税を『適切だとは思わない』は65%だった」という点を重視しています。今回の所得税減税案は確かに散々非難されています。「増税のはずが減税かい?」という国民を煙に巻く大方針変換が実に分かりずらいのです。

それとこのブログでも以前指摘しましたが、公平性を保つために「定額」減税で、低所得者向けには給付措置を案として示しています。これを「なぜ、所得税減税にしなくてはいけないのか?」、ここが国民には分からないのです。国民は物価高対策を求めている、それを受けて首相は「なら、税収が増えた部分を還元する」という着想に視点のずれがあるのです。

勝手な想像ですが、岸田氏が財務省の財布をこじ開けるための方便だったように見えます。「ばらまき」と言われない理由づくりであります。ただ、給付型にすれば簡単で時期も最低でも4か月は早められたし、臨機応変な対応も取れたのに、くそ面倒くさい所得税減税という手法を取るので国民からすれば果実(減税分)がいつ貰えるかさっぱりわからないのです。物価高対策なら今必要なのです。一人4万円を半年も待てないのです。

ではなぜこんな風に面倒くさいことになるのか、といえば岸田首相が人の意見を聞きすぎるのです。自分で考えておらず、バランスのことばかり考えてしまった、これが不人気の原因です。

岸田首相の政策はいわゆる負のサイクルに入ってしまっています。こうなると仮に何をどう打ち出してもネガティブに受け止められてしまいます。一部のメディアによる支持率は既に3割を切っていますが、たぶん、年明けぐらいまでにはほぼすべてのメディアの調査で3割を切る公算は大いにあり得ます。

では解散ですが、巷では様々なタイミングの読みあいになっていますが、私はそのまま24年9月末の自民党の党首としての任期満了まで全うしたほうが良いと思うし、そうなると思います。あまりにも不人気、かつ対抗馬となる政党もない中で解散カードを切ると日本の政治そのものが総崩れになる可能性があります。

言い換えると自民党党員と議員が選んだ党首を自分たちで再度、どうするか考えよ、ということです。仮に岸田氏以外の人が当選した場合、その新首相は岸田氏がやったような早期解散をせず、半年程度、運営し、政治的手腕を見せた上で国民の審判を問うべきでしょう。そもそも首相の解散権などというのはもう流行らない手法で伝家の宝刀のような持ち上げ方は止めた方がよいと考えます。

ちなみに主要国のトップの支持率は何処も散々なもので、アメリカ、フランス、カナダ、英国、ドイツ…目も当てられません。例えば私の住むカナダではトルドー政権が低支持率故に辞任も解散もできない、だけど国民は不満たらたらというあきらめムードが漂っています。政治家というのは不人気商売になり替わってしまったということなのでしょう。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年10月30日の記事より転載させていただきました。