ICPFシンポジウム「マイナンバーの呪いを解く」

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情報通信政策フォーラム(ICPF)では3回連続してマイナンバー問題に関するセミナーを開催してきた。

第3回で講師を務めた森田朗氏が強調したのは福祉国家の基盤としての価値である。国民一人ひとりに寄り添って手を差し伸べるため、多様な行政情報を統合して利用する、そのカギがマイナンバーである。

行政情報を統合して利用することは「監視に等しい」と懸念する国民もいる。懸念を解消するために、いつ、どの行政機関がどんな情報を閲覧したかがわかる仕組みがエストニア版のマイナンバー制度にはある。第2回で講師を務めた牟田学氏は、日本のマイナンバー制度ではこの仕組みが不十分であるとした。

マイナポータルには「情報提供等記録表示」機能が組み込まれている。ある行政機関が持つ特定個人情報を他の行政機関が利用したら、そのやり取り記録を当事者が閲覧できる。一方、エストニアでは行政機関内での利用も記録されるから、行政による不正利用を国民がいっそう監視できる。

街中に防犯カメラが設置されているが、英国の設置台数は群を抜いている。日本では駐車監視員に見つかったときに駐車違反となる。だから「いつも駐車違反があるのに、なんで今日だけ」と不満な気持ちが募る。一方、英国では防犯カメラの記録を基に駐車違反は公平に処罰される。

この公平性こそがマイナンバーの価値であると説く第1回講師大林尚氏の意見は、森田氏の主張と共通する。

大林氏の講演は、ジャーナリストという職業柄、わかりやすかった。これに対して、マイナンバーに関する関係府省の広報は理解がむずかしい。国民を対象に平易に説明する姿勢に広報を変えていく必要がある。

福祉国家の基盤、政府を監視する仕組みから、国民向けの平易な説明まで、連続セミナーで見いだされた論点を政権与党のデジタル政策責任者にぶつけるシンポジウムを開催することにした。

11月21日にICPFシンポジウム「マイナンバーの呪いを解く」を開催する。基調講演者として平井卓也初代デジタル大臣と、「マイナンバーの呪い」という表現を提唱した榎並利博さんをお招きし、マイナンバー問題の抜本的解決策について、会場の皆さんと一緒に討論する。どうぞご参加ください。