介護でのデジタル活用について議論した:行政事業レビュー(2日目)

秋の行政事業レビューが11月11日、12日に実施されている初日は「雇用調整助成金」の議論に参加したが、二日目は「介護におけるデジタル技術の活用の加速」を担当した。

高齢化社会の進展により介護サービスの必要量は増加するが、介護職員数を増やすには限界がある。そこで、ICTを導入し介護サービスの効率を上げようと政府は動いている。実証調査では、ICTの導入により利用者・介護職員の双方にポジティブな結果が出ているという。しかし、ロボットを始めICT機器等を導入している介護施設はとても少ない。費用が高額で、職員が使いこなせるか不安だという。

どうしたら、広く活用されるようになるのだろうか。

問題の一つが、人口5000人の町の家族経営の、小規模介護施設へのICT導入である。ロボットどころではなく、職員間でSNSを利用することさえ簡単ではない。

そこで、近隣の介護施設と合わせてICT事業者に一括契約して、週に一度程度、各施設でSNSの利用方法について指導を受けるといった、運営の協働化を僕は提案した。導入補助に加えて、導入後も最初の一年間は利用指導を含め運営を補助する仕組みも提案した。事業者間での協働は取りまとめに記載された。

健康増進、生活習慣病予防などから取り組めば、介護を必要とする人口を減らせる。介護を必要する人口の伸びが抑えられれば、介護職員の不足も緩和する。元気な高齢者に介護ボランティアをお願いすることもできる。

健康増進から始まる介護に至る前の各施策でICTが活用できる。そこで、健康医療介護を横断してICTを活用するグランドデザインの立案を提言した。

河野大臣は「グランドデザインは厚生労働省の責任で、デジタル行財政改革会議ではグランドデザインを進めるためのデータ活用についてサポートする」との意見だった。一方、厚生労働省は、グランドデザインの必要性は認めるが、十分には取り組めていない状況と回答した。

そこで、取りまとめに、政府全体への提言として以下を記載してもらった。

介護DXの更なる進展や質の高い介護の持続的な提供に向けて、政府全体として、健康・医療・介護を横断したグランドデザインを描き、相互に連携する仕組みの構築や分野を横断して活用できるICTの開発・普及・標準化を進めていくべきである。