経済音痴の中国政府が打ち出す不動産業支援策

岸田首相を「引きずりおろし」をしたいという専門家やメディアの姿勢が見えるのですが、全てのカードは岸田首相が持ってます。そして私が見る限り辞めそうにないのです。今回、首相を勇気づけたのがバイデン大統領からの「アメリカの国賓待遇での公式訪問」のご招待。場合によりアメリカ議会での演説付き。こんな機会はもう絶対に来ないのです。私が首相なら「喜んでお引き受けします」です。この公式訪問は来春なので解散はあったとしても最速24年6月以降しかないとみるのが妥当だと思います。私は解散がないまま総裁選に突入するのでは、とみています。

では今週のつぶやきをお送りします。

東京株式市場は好調を維持できるか?

日本の株式市場は当面好調を維持できるか、と聞かれれば「できる」と答えます。7-9月決算はまだらだったのですが、企業が販売価格を値上げしたことで経営改善が進んでいることが最大の背景です。10月の消費者物価指数はコアが2.9%、コアコアが4.0%、総合が3.3%上昇となりました。物品の価格は落ち着き始めていますが、サービス価格が急騰したことが主因です。しかし、見方を変えれば企業に値上げできる環境が生まれた、そして便乗値上げも好む好まざるにかかわらず、消費者が受け入れている点において経済の強みが見えます。

それを支えるのが物価高に慣れている外国人で値上げされた価格を見ても「まだまだ安い」と思い、消費を続けることで日本人が出遅れになる状況が一部で生じているとみています。外国の投資家はようやく動き始めた日本経済に安ど感を示し、株式市場の取引の7割を占める外国からのマネーが流入する、という循環です。11月の第1週と第2週だけで外国人の買いが2兆1000億円あまりありました。これらのマネーは世界をフロートする(ふらつく)マネーで欧米より日本が投資に向くという判断をしているものと思われます。

チャート的には今年の高値を週初にブレイクし、一旦調整のち、金曜日に再び33800円台に戻しており、腰の強さがありますので来週にも34000円台、そして先週予想したように年内35000円が見えてくるとみています。海外市場ではニュースが枯渇しており、引き続き強弱感が対立しているため、手掛けにくさが残ります。ハイテクは揃って高値を付けており、その波及効果がどこまで広がるかがポイントになるかと思います。

経済音痴の中国政府が打ち出す不動産業支援策

中国政府が埒があかない不動産業の不調ひいては中国経済の成長鈍化に業を煮やし、不動産業救済を決めたようです。この噂は数か月前からあり、このブログでもお伝えしていました。内容はまず50社リストなるものが作成され、経営不振を極めるデベロッパーに銀行など金融機関が無担保貸し付けを行い、完成途上にある物件を完成させ、入居を進めることでデベロッパーのキャッシュフローも改善するというものです。

この50社リストには恒大集団は入っていないようですが、碧桂園や遠洋集団は入っている模様で碧桂園については同社株主である平安保険に中国政府が支援を要請したとのうわさがあり、同社がそれを否定している状況にあります。不動産開発事業の再生は私の本業なのでよくわかっていますが、たやすくありません。また、中国政府は「二兎追う者」になっています。つまり購入者救済とデベ救済。その為に銀行など金融機関に「貸し付けろ!」と無理難題を押し付けます。ご承知の通り、中国の不動産事情は完全な供給過剰。また「上がるから買う」というバブルの心理状態にあった購入者を煽った「宴のあと」だという点をみれば中国政府が打ち出す解決策にはならないのです。

実はこの問題、割とシンプルな解決策があります。デベは会社で見ると規模が大きいのですが、結局、個別の開発案件の集合体であり、個々の案件の連関性は無いのです。よって各案件を個別に精査し、価値がある物件を対象に別の法人体を作り、そこにデベが資産を適正価格で譲渡し、銀行なりが新会社に貸し付け、建物を完成させるという手法を取ればよいのです。その際、デベが実際には清算会社的な役割となり、損失を吸収します。最終的にはデベは解散させればよいのです。今の政府の方針だと解決は中国経済を奈落の底に落とし込むことになりかねないです。

ASKA/iStock

感謝祭商戦、その行方は?

感謝祭は11月最終木曜日のアメリカの農作物の収穫のお祝いです。ちなみにカナダは寒いところにあり、収穫が早いので10月に感謝祭があります。この翌日、金曜日がブラックフライディとなりその次の月曜日がサイバーマンディと称されるオンラインショッピングの週となります。その後、クリスマスショッピングの時期に繋がり、これから数週間の間は毎年、大きな買い物バックをもった人々で街が溢れる、そんな時期になります。ただ、環境重視で買い物袋が有償になったこともあり、買い物客が目立たず、盛り上がりに欠けるという弊害は誰も指摘していない事実でしょう。

今年は例年になく広告宣伝が多く、ラジオのCMは半分ぐらいがブラックフライディの宣伝です。ただ、消費者の反応は薄いとされ、ギフトの予算は昨年と同じでも値上がりで購入できるものはいつもの年より少ない、という話も聞かれます。また北米の飲食店はコロナ後の回復が鈍く、赤字かほとんど利益が出ていないところが続出しているとされます。ニュースでは「この年末商戦に賭ける」といった飲食店経営者も多く、街中のネオンの輝きとはまるで正反対の「生きるか死ぬか」の大攻防がリテール、飲食店などBtoCの業種で繰り広げられています。

カナダでは特に事業者向けコロナ救済金の返済期限が1月中旬に迫る中、7-8割の借主が「返せない」と答えています。日本でもゼロゼロ融資後の倒産が続いていますが、コロナ救済金は世界中、どの政府も余りにも安易に貸し付けたと思います。そのツケが今廻ってきており、小規模経営者の足首に鉄の錘がついた状態にあるといえましょう。この反動は思った以上に大きいとみています。

後記
開発を進める高齢者向けグループホームの工事も佳境に入り、現場にはあらゆる業者が入り乱れ、最後の追い上げに入っています。ようやくここまで来たという感慨すらあります。カナダの開発工事を自分でやるのは久々。今回は弁護士もコンサルも雇わず、銀行借り入れもなしで全て自前で進めてきましたが普通の忍耐力では厳しいだろうな、と実感しました。経験があり、先を読めたからこそ北米ではありえない予算内完了が見えてきています。工事の管理会社から「明日までにこの業者に1000万円払ってくれ」と言われると相当カッカしますが、「わかったよ」と言えるようになったのは私も大人になった証拠かもしれません。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年11月25日の記事より転載させていただきました。