人間関係のトラブル原因は「言葉」が9割

黒坂岳央です。

学校、会社、SNSなど人間関係の場においてトラブルが起きる原因は決まっている。それは「言葉」である。肩がぶつかったとか、態度が悪いとか、仕事をサボっているなどもあるが、それでもトラブルの原因のほとんどは言葉であろう。

つまり、自分が発する言葉の取り扱いに気をつけることで人的トラブルを未然に防ぐことができると思っている。

maruco/iStock

沈黙は金?いやダイヤだ

雄弁は銀、沈黙は金という言葉がある。SNSでいいことをいっている人が「余計な一言」をくっつけたことで、その贅肉が大きな炎上の火種になっているのを見るたびにこの言葉を思い出す。

意図を全体の文脈で理解できる人にとっては「この発言は表面上はAと捉えられてしまいそうだけど、前後の内容を考えると真の意図はBだったんだろうな」と冷静に理解することができるので問題にならないしカチンと来ることはない。

だが世の中にはいろんな人がいる。前後の文脈や相互の関係性を理解せず、1つの単語にすべての注意力を持っていかれてしまう脊髄反射的解釈をする癖の持ち主は「けしからん」で感情が瞬間湯沸かし器のようになって怒りで我を忘れてしまう。SNSの炎上を見ると、世の中の割合は後者が多い印象なので、いった本人は「そんなつもりではなかった」とならぬよう、言葉の取り扱いには注意が必要である。

そういう意味で、瞬間的に感じたこと、思ったことを言わずに流すスキルはとてつもなく重要だ。人間は思ったこと、感じたことがあれば口から出してしまいたい欲求を持っている。身内や気心のしれた仲ならありでも、不特定多数の見る場でそれは命取りになる。思っても感じてもグッと堪えて口に出さない。沈黙は金ではなくダイヤなのだ。

何をいうか?よりどういうか?

また、言葉が人的トラブルを引き起こす際、多くの場合は何をいったか?ではなくどういったか?つまり、「伝え方」が理由であるケースは圧倒的に多い。

実体験の話で言えば、昔の勤務先に上司や取引先へのメールで「~してください」という文面で送信する社員がいた。対面コミュニケーションを日頃から取っている人にとっては何も感じないかもしれない。だが、ビジネス現場において「してください」というのは「丁寧な命令形」でカチンと来る人は一定数いる。

筆者はコールセンターで働いていた時期もあったので、敬語の言葉遣いはかなり教育されてきた(といっても未だに間違えてしまうことはあるのだが)。このような時は「して頂けますでしょうか?」と依頼形で尋ねることで、選択権はあくまで相手にあるという言い方をする方が良いと教わった。

こういう話をすると「日本はどうでもいいことにこだわるから労働生産性が低い」と言われがちだが、そんなことはない。外資系で働いた時はむしろ、アメリカやイギリス相手の方がこうした伝え方を要求されると感じる場面は何度もあった。We would appreciate it if you couldとかCould you~?などと仮定法、疑問形で依頼を出せと教育を受けた経験がある。好ましい尋ね方でなかったことで、相手がムッとしてしまいこちらへの仕事の優先度を下げられてしまうということも実際に経験している。おそらく中国人や韓国人相手などアジア圏だとより顕著だ。「言い方」は大変重要なのである。

「日本企業はコミュ力重視」みたいな話があるが、厳しい言い方をするとビジネスにおけるコミュ力の重要性を軽視してしまう「視座の低さ」が問題なのだと思っている。しょせんはコミュ力、というなら「その程度のもの」を最低限は磨く必要があるという発想が重要ではないだろうか。

人間関係のトラブルは常に自分が出した言葉が連れてくる。無用なトラブルにマインドシェアを奪われたり、有望な取引先を失ったり、ネットで軽率な発言をしてしまう人物だと広まれば損をするのは自分である(自分もやらかすことはあるが)。言葉のトラブルで「軽くいっただけなのに」と考えるべきではない。本人にとって軽くいった言葉は、相手にとっては「軽率」という意味合いの軽さに取られてしまうのだから。

 

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