東大を目指すことには、これからも価値があるのか?

催する寿司イベントに呼んでもらった愛宕翔太さんが出した「成長論」を献本してもらい、早速読みました。

本書のテーマは、年齢に関係なく新しいことにチャレンジすることによって人は成長することができるというものです。しかし、私は別のことを考えさせれれました。

それは「東大を目指すことの価値」についてです。

この本は和田秀樹さんとの共著で、東京大学卒業の2人が教育や人生について本音で語り合う。ユニークな価値観を提供してくれる書籍です。

まず不思議だったのは、今まで本を出したこともなく、一般的には全く無名な愛宕さんが、なぜ有名作家の和田秀樹さんと、いきなり書籍を一緒に出すことができたのかです。

その「きっかけ」を作ったのは、東京大学です。

東京大学 jaimax

ベンチャー企業を立ち上げ売却し、MBAを取得するために勉強しながら、寿司職人として活動している愛宕さん。もし、愛宕さんが東大卒ではなかったら、ただの変わり者で終わってしまい、残念ながらこのような書籍を書く機会は得らなかったでしょう。

受験で成果を出したという結果が、有名著者との共著出版というチャンスをもたらしたのです。

私が学生の頃、東大を目指すのは、特に文系の場合、官庁や有名企業に就職して出世するのが目的でした。有名大学に入ってしまえば、人生の成功が約束されていると思い込み、それに向かって努力をしたのです。

しかし、その成功法則は30年経って幻想であったことに気が付きました。

実はそれよりも大きな東大の価値は「きっかけ」をもたらすということだったのです。

私自身の今までの人生を振り返っても

金融機関に就職できたのも東大のおかげ
MITに留学できたのも東大のおかげ
マネックスの創業に参画できたのも東大のおかげ

と、組織での出世には役に立たなかったものの、東大にいなければ得られなかった出会いが数多くあったことに気が付きます。

これは、きっとこれからも変わらないのかもしれません。とすれば、地盤沈下したとしても「きっかけ」を得るために東大を目指す価値はこれからもある。そう思いました。

日本社会の枠に囚われない愛宕さんの自由な生き方が、これからどんな成長につながるのか。興味が尽きません。夢や希望が無いと言われる日本の若者の生き方のロールモデルになってくれることを期待します。

愛宕翔太さん、出版おめでとうございます!また、近いうちにお寿司を一緒に食べる機会を楽しみに待っています。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年12月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。