海外旅行より国内旅行、当然です!:ダントツに低い日本のパスポート保有率

バンクーバーの5月から8月は天国です。当然のことながら7-8月は観光客がわんさか押し寄せ、ホテルの価格は一部屋6-7万円でも取れるかどうかという感じになります。街は観光客であふれ、レストランでは観光客に地元の人が押し出されてしまいます。では地元の人は夏にどこかに行くのか、といえばもちろん行く人はいますが、主流の意見は「一年で一番良い時期にわざわざお金を払って外に出ていく理由がない」。ごもっともです。ちなみにバンクーバーを含むカナダの人の典型的な観光シーズンは実はこの時期から1月にかけて暖かいところ、多くはメキシコ、アメリカ南部、ハワイあたりへの避寒旅行になります。

これを日本に当てはめてみましょう。オーバーツーリズムと言われるほど外国人が押し寄せる日本は10月の訪日外国人が2019年のコロナ越えとなっており、中国人がまだ本格回復していない中で圧倒的な観光立国としての強さを見せつけていると言えます。なぜ、外国人が日本に来るのか、といえば「見るところが豊富、食文化も素晴らしく、文化や伝統もあり、価格も安い」であります。

先日利用した成田空港の免税エリアの土産店。毎回同じところで買い物をしますが、今回の行列は長かったです。レジのスタッフは8人ぐらいで対応していましたが、それでも10分は待ちます。そして皆さんの買い物かごの量がかつての中国人爆買いを想起するほど買う白人やアジア人も多いのです。多分、クリスマスギフトにするのでしょうね。

バンクーバーの人が夏にはバンクーバーに留まるように、日本人が「やっぱり国内観光」というのは当然と言えば当然なのです。

70年代から80年代は日本人の海外ツアー旅行の萌芽だったと思います。旗の後ろについていく日本人旅行客とか、ブランド物を八百屋で野菜を買うように買い漁る日本人客とか、ステテコでホテルの中を歩く日本人とか、まぁ、いろいろ言われたのもずいぶん昔の話。そういう私も初めて香港旅行に行った時、レモンが入ったフィンガーボールの水をスープと間違えて飲もうとして慌てて店員に止められたこともあります。

その後、地球の歩き方ブームで個人旅行が主力となり、団体旅行は少しずつ減ってきたと同時に日本人の海外旅行への強い興味も失せてしまった、そんな気がします。要は海外旅行は慣れていない人にとっては面倒くさいし、自由にならないし、食べた気がしないフォークとナイフの世界なのです。

私が好きなあるYouTubeの番組では海外を転々としながら各地の食事を紹介しているのですが、最近つまらなくなり見なくなりました。理由は物価高もあるのか、食べるものが貧弱になり、かつ、ハンバーガーなどジャンクフードばかりになって何一つ面白くなくなったのです。ただ、一方的にこのYouTube番組を責めるわけにもいかないのです。なぜならそれは事実に近いからです。

たとえばカナダで「カナダ料理」と言われても思い浮かばないですよね。「アメリカ料理」はどうですか?BBQとかステーキでしょうかね?そんなものは日本でも食べられるし、日本のクオリティの方が良かったりするのです。カナダはロブスターが有名ですが、たかがザリガニ。私はもう何年も口にしていません。日本で大きなエビを食べた方がはるかにおいしいです。地元の人も日常を含め、大したものは口にしていません。

一方、日本に行けば「1000円でこんなに立派な刺身盛りが出るんだ」と驚きです。たかが居酒屋でもこちらの高級店並みのクオリティが出せるのは鮮度と種類の多さがあるのでしょう。

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ブルームバーグによると日本人のパスポート保有率は国民6人に1人となる17.8%とのこと。これは他国に比べてかなり低く、アメリカでは約半数、英国では87%の所有率を考えてもダントツに低いわけです。もちろん、海外旅行は楽しくないのか、と言われれば楽しいのですが、日本人にとって言葉のハンデは思った以上に大きいのと野卑なものはあまり好まない清潔好きさが祟ってか、アジアの屋台文化に馴染みにくいところもあるのでしょう。

観光料金も正直、人を小ばかにするような金額です。例えばバンクーバー近郊にキャピラノ吊り橋というのがあるのですが、この料金おひとり様66.95㌦、つまり7000円です。たかが50メートルのつり橋を渡るだけです。ちなみにそこから車で15分走ったところにLynn渓谷のつり橋がありほぼ同じ長さ、同じ眺めでこちらは無料です。要は海外旅行をすると各種入場料が何処に行くにも数千円以上かかり、その割には「これだけ???」というレベルなのです。

その点からすれば日本国内旅行に勝るものなし。断言します。もちろん、雄大な景色とか、異国情緒は海外ならでは、だと思いますが、海外旅行慣れしていない日本の方には肩が凝ると思います。

団体旅行で必死に旗につかまって無事ご帰還したおばあさん曰く「おじいさん、やっぱり日本のお茶漬けがおいしいですね」になるわけです。日本人が日本を愛す、だからこそ日本はもっと良くなるのです。世界一だと自慢してよいと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年12月24日の記事より転載させていただきました。