「学歴フィルター」「新卒一括採用」など何かと話題の多い「就活」。
学生は周囲と同じ活動をするのではなく、採用の実態を理解した上で戦略的に捉えなくてはなりません。
エントリーシートはコピペで十分
就活の初期段階でエントリーシートが読まれることは、まずありません。せいぜい、個人面接に移行してからです。エントリーシートがどんなに素晴らしくても、内定に及ぼす影響度は微々たるものです。であるならば、時間をかけるのはムダということです。
業界別に数パターンのエントリーシートを準備しておきましょう。また、熟考して、丁寧に書く必要もありません。むしろ、平易な目立たないものが好まれると思います。平易で目立たないことは日本において美徳とされるからです。エントリーをするために最低限の体裁を整えておけば問題はないと申し上げておきます。
採用担当者を2名として、1万人のエントリーシートを読むのにどの程度の時間がかかるのか検証しましょう。1枚1分としたところで、採点をしなくてはいけませんから、1時間でこなせるのは30枚程度のものです。1日の実働8時間と考えて、240枚。1万人のエントリーシートを採点するには41.6日かかる計算になります。
1カ月の稼動を20日とするなら、ざっと2カ月はかかります。2名でこなしたとしても1カ月はかかります。他の業務を一切せずにエントリーシートの採点のみに費やすだけで、その程度の時間がかかるのです。全てのエントリーシートを読むことは非効率ですから、スクリーニングの必要性に迫られます。学校名や写真映りなどによるスクリーニングです。
自己分析も時間のムダ
大学の就職部では、講師として招いて、学生向けの自己分析講座を開設しています。自己分析とは、過去の経験や出来事から価値観などを整理し、志向タイプをはっきりさせて、自分の強みや弱みを明確にしながら、自分自身の軸や志向を発見するものです。
初めての人には新鮮に映るでしょう。しかし、学生が自己分析に力を注いでも意味がありません。それどころか、「自己分析で見つけた強み」という思い込みは誇大妄想になりかねません。誰もが実績として認めて数値化できるようなものでない限り、他者と一線を画するほどのオリジナリティーにあふれていることは、まずないからです。
軸を持たずに自分のやりたいことや思考を目まぐるしく変化させるのは、環境に合わせられる柔軟な思考力を持っているということです。就活の限られた大事な時間を自己分析に費やすよりも、他にやるべき大切なことに費やす方が賢明だということです。
就活を理解してどう行動する
いまは、ネガティブな情報を隠すことが難しくなっています。「厳選採用を演じる企業」と「就活を演じる学生」の矛盾は双方にとって、機会損失をもたらすことになります。結果的に、「学歴フィルター」はなくなりません。「新卒採用」もなくならないでしょう。
以前、学歴不問を打ち出すオープンエントリーがはやりました。しかし、大学名を書かなくても、9割方の大学名を特定することが可能でした。それらの業務を受託していた企業も存在しました。つまり、会社説明会を訪問した時点で、大学名はほぼ特定されていたのです。
就活は戦略的に動かなければ効果はありません。あなたはどのように動きますか?