24日投開票された武蔵野市長選挙。リベラル勢力が強い地域で保守系候補が当選したことは、様々なことを示唆していよう。
目下、政治資金パーティー裏金事件で、自民党に逆風が吹き荒れているのだから、リベラル勢はその批判票の受け皿であることを持って任じていたはずだ。しかし、そうならなかったのは、松下前市長が突然、衆院選に立候補することを表明して市政を投げ出したから、という理由は大きいだろうが、そもそも、外国人参政権の住民投票条例案提出にまつわる一連の大混乱など、リベラル派特有の統治能力の欠如への不信任だったのではないか。
これより前に行われた江東区長選挙でも、前区長と自民党衆院議員による不祥事が再選挙の原因だったにも関わらず、自民・公明・都民ファーストが推す保守系候補が勝利し、リベラル派は落選した。この両首長選で、リベラル派候補を一生懸命応援していたのが、世田谷の保坂区長である。保坂区長は、首長、地方議員らで作るLIN-Net(Local Initiative Network)の盟主として、この選挙に挑んでいた。岸本杉並区長、白井小金井市長ら続々とメンバーが駆け付けていた。
岸本杉並区長といえば、あまりに軽率かつ突飛な言動から、杉並区政を混乱に陥れていることで有名だが、そもそも松下前武蔵野市長もLIN-Netのメンバーだったのであり、「公」より「個」を最優先する行動様式は似通っている。ゆえに、行政運営そっちのけで選挙にかまけもする。このことは、わが保坂区長も人後に落ちない。
私ひえしまは世田谷区議会で、LIN-Netの活動と世田谷区政の関係性を保坂区長に質したが、「区長でなく、政治家としての活動なので答弁を差し控える」とのことだった。私にはかつて一時期席捲したものの、急速に住民の支持を失った“革新自治体”の拡大を企図しているように見えるのだが、この点も区長は答えなかった。
いずれにせよ、保坂区長の区政運営を見ていても、「国の言うことにはすんなり聞かない」「国に盾突く」というスタンスを取ることはいつものことで、それを貫徹するならまだしも、結局は散々騒いだ挙句、国の方針に従うのだから、単なる税金と時間のムダである。LIN-Netメンバーの首長に共通するパフォーマンス優先のやり口が、どうやら有権者に見透かされていて、選挙結果に表れた気がする。
国のおかしなところは指摘する必要はあるが、むやみに抵抗するというのは、子どもの振る舞いにしか見えない。いま、区民の生活は厳しさを増している。国や都と協力して、多くの人々の利益に資する施策を着実に進めることが、求められている政治家の仕事であるはずだ。