アドバイスを求めると損をする相手

黒坂岳央です。

人生やビジネスにおいて重要な意思決定を迫られる時、我々は他人の意見に耳を貸しアドバイスを求めようとしがちだ。だが、誤ったアドバイスは往々にして逆効果をもたらす。一人で考えて出した結論の方がよほど正しいということは少なくない。

有名インフルエンサーだからとか、ずっと仲良くしてきた友達だからという、それだけの理由だけで大事な自分の人生選択を委ねるべきではないと考えている。とりわけアドバイスを求めると失敗する可能性が高い相手を独断と偏見で取り上げたい。

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1.未経験/経験不足な人

筆者は英語を教えているが、時折学習者から「ママ友から”独学で英検2級に合格できるわけがない”と言われた」とか「合格率が低い試験なので無謀では?」といった意見をもらって強烈に不安になったと相談を受けることがある。これは典型的な「アドバイスを求めてはいけない相手」に相談をしてしまっていることが原因である。

まず、英語の学習戦略やゴールまでの具体的プロセスを英語ができない人に聞いてもまともな答えは返ってこない。いや、過去記事子供に英語を習わせても話せるようにならない理由で書いた通り、英語力のない英語教師すら普通にいるのだから聞く相手はもっと慎重になるべきだ。

一応断っておくとアドバイスをする側に悪気はない。ほとんどの人は質問をされると内容に詳しくなく、主張に根拠がなくてもなんとか頑張って自分なりの答えを出そうとしてしまいがちだ。だがそれが間違った結論を出してしまう。

未経験、経験不足の相手にアドバイスを求めても、正しい答えは返ってこないのは当たり前である。たとえば自分は子供が生まれる前は「子供を持つことは人生のリスク」と漠然とした不安を持っていたが、今は180度変わった。何事も経験なくして語れないのだ。

2.否定的な人

世の中にはどんなことにも否定的な人がいる。人の価値観はそれぞれなので好きに生きればいいと思っているが、新たなる挑戦や可能性を追求する場面でそうした人に否定的な答えを受け取ると不安になってリスクを過大評価してしまう。ただでさえ人間は得より損に何倍もフォーカスして歪んで思考するクセを持っているが、否定的な人はその傾向がさらに強まる。

得られる可能性よりリスクばかりが目につく相手に、前向きなチャレンジを相談する論理的メリットはほぼない。

3.自分の利益を優先する人

人間は誰しも自分が一番かわいいし、自分を一番優先させたい動物である。それは自分自身も同じだ。

だが、相手が人生相談をしてきた時だけは自分の利益を引っ込め、相手のためになるアドバイスを優先したいと考えるのが理想的である。それなのに家族や友人へのアドバイスに自分の利益追求を考えるとアドバイスが歪む。「それはこのサービスを使うといいよ」みたいに自分の懐があたたまる何かを経由させることで、そのコストを相手に払わせようとする人はアドバイスを求めるべきではない。

ちなみに自分の場合は後から恨みを買うのは面倒なので、アドバイスを求められた時はそうした利益は排除するように意識している。アドバイスはフラットでなければ相談主にメリットがない事が多い。

4.知識が偏っている人

経験も知識も豊富でも相談してはいけない人がいる。それは知識が偏っている人だ。

たとえば育児をする上で厳しく教育をして子供を立派に育てた相手に子育て論を聞くと、当然厳しくしつける重要性を中心にアドバイスを受ける可能性が高いだろう。

だが、厳しいしつけでうまくいく子と逆に可能性を潰す子もいるのであくまで我が子に当てはまるとは限らない。もちろん、フラットな目線で「自分の場合はこうした。あくまで参考程度に聞いてもらいたい」といった冷静な意見ならいいのだが、「絶対にこうするべき。厳しくしつけないと子供の将来は恐ろしいことになる」みたいな押し付けになると判断を誤りかねない。

知識が豊富な人は頼りがいがあるが、それは自分自身が知識が偏っていることを自覚しており、アドバイス時はその点に留意する冷静さを持った人に限られるだろう。

ここまで色々論じたが、そもそも軽い気持ちでよく知らない他人にアドバイスなんて求めない方がいいと思っている。自分の人生を一番大事に考えるのは自分の他にいない。他人はしょせんあなたのことを何も知らないし、重要度は自分自身ほど高くもない。そんな相手に大事な人生の選択を預けてはいけない。…という話もこれも筆者からの1つのアドバイスである。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。