大学時代に就職活動をしている時、都市銀行と総合商社には行くのをやめようと思いました。メーカーのように、新しい付加価値を創造しているのではなく、どちらも単に左から右にお金や商品を横流しするだけでお金儲けをしているように見えたからです。
社会人になってわかった事は、例え優れた製品があったとしても、それを必要な人に届けることができなければ価値はないということでした。
安価に飲料水を製造できる機械があったとしても、それを砂漠に住む人に渡せるかどうかが重要なのです。
必要な商品を必要な場所に届ける。その役割を担うのが総合商社だと気が付きました。
最終的に就職先は信託銀行を選びました。これは、不動産業務をやってみたいと思ったからでしたが、2年目からディーリングルームで為替や証券の資産運用業務を担当しました。
そこで気がついたのは、資産運用をすることはお金が余っている人とお金が足りない人を様々な投資商品によって結びつけること。つまり「お金の総合商社」だということでした。
例えば、株式投資をするのは、お金を持っている投資家が、資金を必要とする企業に資金を融通する行為です。資金提供する投資家がいなければ、商品開発や営業活動はできません。
投資とは単なる「あぶく銭」稼ぎではなく、世の中に資金の融通という価値を提供している存在価値のある行為だということです。
これは機関投資家も個人投資家も全く同じです。
たんす預金している人は、自分のお金を自分のためだけにしか使っていないことになります。資本を持っている人は独り占めするのではなく、自分の意思で必要だと思うところに融通していく責務があります。
日本の個人は、今まで蓄積した莫大な個人金融資産を預貯金に眠らせています。これは、金融機関にお金の融通を任せている状態です。
投資に対する「ギャンブル」「あぶく銭」といった偏見が払拭されると同時に、自分の意思でお金の融通ができる投資家が、2024年にはもっと増えて欲しいと思います。
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年12月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。