なぜ「陰謀論」をSNSに投稿する人がいるのか?

今年は年初から能登半島の地震、そして羽田空港での航空機事故と痛ましい出来事が相次ぎました。

地震の被災地では、厳しい状況の中、懸命に生活の立て直しをしようとしている方がたくさんいます。

そんな中、とても気になるのが、SNS上で年初の様々な出来事を「陰謀論」で説明しようとする人たちです。

例えば、

「能登半島の地震は人為的に起こされた人工地震」
「輪島市の火災はハワイ島と同じでレーザーによって焼かれた」
「羽田空港の事故はフェイク映像」

といった投稿です。

少し考えれば、このような解釈がおかしな事はすぐにわかります。

人工的に起こされた地震であれば、今まで起こっている千回以上の余震もすべて人為的に起こされたというのでしょうか。誰にそのようなことをする必要と能力があるというのでしょうか?

また火災が人為的に引き起こされたのであれば、そのような映像を撮影している人が必ずいるはずです。それさえ陰謀によって公表されないようにしているというのでしょうか?

さらに、羽田空港の事故に関しても、残された機体を見ればフェイクというのが荒唐無稽であることがわかります。

このような情報を発信している人には、2つのタイプがあると思います。

1つはいわゆる「情報弱者」といわれる人たちです。世の中に溢れる情報の中から、正しいものと間違っているものを見分ける力が弱い。

不安心理に陥ると、都合の良い説明に簡単に納得してしまい、それを信じられるような情報だけを都合よく取り入れてしまう。

ネットで情報が溢れるようになると、より誤った情報が混ざり込むことが多くなり、真実が見えなくなってしまいます。

ラジオに「雑音」が入ると、聞きたい音声がよく聞こえなくなるのと同じです。

そして、もう1つのタイプは、真実ではないとわかっていながら、敢えてこのような情報を配信している悪質な人たちです。

SNSには「インプレッション」と呼ばれる投稿に対する読者のリアクション数に応じて収益が受け取れる仕組みが存在します。

「正しい情報」よりも「インプレッションが稼げる情報」を多数投稿することで、お金を稼ごうとしているのです。

このような投稿に反論すると、その反論に対して、また投稿を行います。批判されて炎上すればするほど「バズっている」オイシイ状態になります。

人の不幸を食い物にして、それを収益化する。ひどい行為だと思いますが、正義感で反論すればするほど相手の思う壺です。

このような人たちは相手にせず、関わらないようにするのが一番です。

Cecilie_Arcurs/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年1月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。