日本株は中国人にも大人気

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今週初め(1月15日)、日経平均が36,000円の大台に乗った。1年前は26,000円台だったんだから、びっくりだ。特に今年に入ってから半月の急速な上げ(2,000円、6%以上)は、投機の匂いさえ漂った。

ちょうどこの日、私は日本に遊びがてら研修(中国では「遊学」というw)に来ている中国人企業経営者何人かとご飯を食べた。日本株が爆上げしてる話になったので、「中国人が買ってる」って噂もあるんだよね」と言ったら、「個別銘柄は分からないから、ETFしか買わないけどね」と真顔で返された。

調べてみると、たしかに中国でも日経225を題材にしたETFがいろいろと売られていて、いま大人気なのだそうだ。

こういう風に中国国内で外国株に投資するファンドは「QDIIファンド」と呼ばれる。QDIIとは外国で証券投資をすることを認可された(適格)機関投資家(Qualified Domestic Institutional Investor)のことだ。

そこで浮かんだのは、最近の日本株の急速な上げに、中国からの買いはどれくらい貢献しているんだろうか?という疑問だった。そんな風に設問すると最近の「おいおい!?」ってくらいの急速な上げは、「上がる」と聞けば、我先に見境なく買う「中国マインド」がかなり反映されてた気もしてくるw

別の記事では、いま中国では、経済と株式市場の低迷を反映して、中国国内のETFが次々店仕舞いしているという。そりゃそうだろう。最近の中国株式市場は国有金融機関による「PKO(買い支え)」が入っているにもかかわらずダダ下がりなので。

代わりに大人気なのがQDIIファンド、なかでも今いちばん「ホット」なのが日経225絡み、なのだそうだ。

あまりにも人気で、ファンド自身の価格が日経225の伸びを大きく上回って上がっており、証券会社が何度も「風険(リスク)提示」を出しているそうな。(【基金周报】2024伊始日经ETF“火爆” 2023清盘基金数量创新高

結論から言うと、QDII経由の中国マネーは、それほど大きなものではなさそうだ。というのは、昨年末時点で認可されたQDII投資家は銀行系、証券系、保険系全て合わせても186社、認可投資額も1,655億ドル、このうち公募ファンドを運営しているのは52社、投資額も751.7億ドルなのだそうだ。

ただ、中国人の日本株買いはQDII経由だけではないかもしれない。中国の外から買っている人もいるだろうし、中には既に日本にお金を持ち込んであって日本の証券会社に注文を出している人もいるだろう。

そうなると、設問は香港、台湾、シンガポールその他近隣の東アジア、さらには米国や欧州など海外からの買いは、日本株の上昇にどれくらい寄与しているのか?に置き換えた方が良さそうだ。

今年始まった新NISAの免税枠拡大による国内の買いも年初からの上げに寄与しているはずだが、さて、海外勢はどれくらい買っているのだろうw?誰か教えてください。


編集部より:この記事は現代中国研究家の津上俊哉氏のnote 2024年1月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は津上俊哉氏のnoteをご覧ください。