薪ストーブ地獄の始まりと顛末①

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2015年の夏

悪夢の始まり。

その夏、その家は薪置き場を作っていた。

秋、大きな音をたてて改装工事が始まった。挨拶や予告は一切ない。

やがて煙突のようなものが見えてきた。

改装工事は薪ストーブ設置工事だった。予告するはずがないことは当然だろう。

周辺が懸念した嫌な不安は的中した。

造園業者が、薄汚い大量の生木伐採木片を運んできた。

2016年2月

悪夢の薪ストーブが焚かれ始め、煤煙悪臭が撒き散らされる。

一帯がものすごい脂くさい異臭で充満。家の中までくさい。逃げ場は無い。

煤煙が撒き散らされ、あっちこっちに黒褐色の微粉末が付着している。

無風の冷え込んだ日にはものすごい木酢臭が漂い、屋外に出れば呼吸が苦しくなる。

咳き込んで歩いている近所の人たちはコロナのはるか以前からマスク着用。

子供たちは「くさいー」と咳しながら歩いている。かわいそうに。

空は時には充満した煤煙で真っ白になる。冬の空は澄んで青いはずなのに。

最初は???だった近隣住民たちは、薪ストーブ家屋の場所に気が付く。

しかし、誰も何も言わない。ただ小声で「くさいねー」と呟くだけ。

近隣住民たちは黙って耐えている。その家屋が怖いから。

意見をしたら逆に悪口を触れ回られることを皆が知っているから。

誰も苦情を言う勇者はいない。傲慢横暴な家だから。

密かに嫌われていることに気が付いていないようだが。

諦めしか無い、激しい怒りを皆がため込んでいる。

近隣住民たちは虚しくささやかな自衛策を始めた。

あまりの煤煙悪臭に洗濯物干しの場所を変えたりする家もあったが無駄だった模様。

今まで外干していた洗濯物や布団は室内干し。

殆どの家は、秋から初夏(10月中旬~5月初旬)まで、外に干せなくなった。

しかし薪ストーブ家屋は、自分の家の洗濯物を外に干しているという滑稽な風景。

煙突から出る煙を自らの洗濯物に当てて燻製を作るがごとくに。

自己中心的な喫煙者は煙の迷惑を気にしないということのようだ。

休日の早朝から薪切をしている。ひどいときは一日中チェンソー音という日もあった。

そして一晩中煌々と照明を灯し、昼夜分かたずいつも大声で(人間が)吠えている。

(続く)


編集部より:この記事は青山翠氏のブログ「湘南に、きれいな青空を返して!」2023年1月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「湘南に、きれいな青空を返して!」をご覧ください。