Twitter、FacebookなどのSNSなどに投稿される「退職エントリー」をご存じでしょうか。退職理由や背景などを文章にまとめて、退職者がインターネット上に投稿する行為を指します。
転職だけでなく起業するための決意を綴るケースもあります。ネットが普及して個人が情報を発信できるようになった時代だからこその事象ともいえるでしょう。
退職エントリーを書く理由
お世話になった会社や上司、同僚に対する感謝の気持ちを示した内容。形式的な文章が多いですが、会社は変わっても関係性を維持したいという内容であれば問題はありません。
どのような実績があり、どのような思いで退職の決断に至ったかが詳細に書かれているケースもあります。フリーランスになるような場合は、実績集にもなりますから便利かもしれません。
退職エントリーは「退職する会社」について書くことが前提ですから、感謝や報告が主体ならば好意的にとらえられると思います。退職した会社の人が読んでも、内部情報や営業秘密などが書かれていない限り、問題視されることはないでしょう。
ところが、「嫌われる退職エントリー」も存在します。
転職はポジティブな理由とは限りません。表向きには言えなくても、多くの場合、職場での何らかの不満、人間関係に起因するものが多いように思います。職場での役割や業務内容、待遇などに満足していて、人間関係がスムーズなら辞める決断にはなかなか至らないものです。
失敗する人はこれをやる
批判や自己喧伝に終始した内容は好まれません。自分の能力を誇示する時点でマウントになります。自撮り写真と同じで、少しでも盛ってよく見せたい心理が透けて見えてしまいます。
例えるなら、会社や周囲の人たちに対する敬意や感謝が感じられず、読んだ人から少しでもカッコよく見られたいという自己愛に満ちあふれているような内容です。
業務上、責任ある立場を務めたり、何らかの目立つ成果を出していたりしたとしても、その人がすべてできるはずもありません。上役の引き立てがあり、周囲の支援や理解があり、会社の看板やさまざまな経営資源を活用してこそ成り立つものだからです。
なのに「これは私が全部1人でやりました」という形で実績を誇っているようなケースは、真相を知る関係者をイラつかせ、いかにも嘘っぽい内容が展開されてしまうのです。
自分の実力や成果をアピールしたい気持ちはわからなくありません。しかし、それが自慢になって、そのまま吐露してしまうと、妬まれたり、会社批判ととらえられたりしかねません。
謙虚さを忘れないように
前職批判を繰り返し意気揚々と転職を行う人は、本人がその問題点に気付いていません。こうした退職エントリーは、あとあと面倒なことになるリスクがあります。転職先の会社の関係者が読めば一緒に働きたい人とは感じてもらえにくくなるからです。
同業他社や取引先の人たちが冷ややかに見たり、在籍していた会社の関係者にとっては不快に思われたりすることだってありえます。
退職エントリーの多くは「自己愛」と「承認欲求」に満ちていますが、謙虚さや周囲への配慮の気配りを忘れないようにしましょう。それができないなら退職エントリーは全くおススメしません。