自民党の長期政権担当
1945年の敗戦から今年で79年目を迎える。その間、1993年の細川連立政権の8か月と2009年の民主党政権の3年3か月を除き、1955年の保守合同以来の自由民主党が選挙の都度多数を獲得し長年日本の政権を担当してきた。
自民党政権については、ロッキード事件、リクルート事件、今回の政治資金パーティ裏金事件など、「政治と金」の問題が根絶することがなく現在に至っている。
しかし、それにもかかわらず、自民党は長年日本の政権を担当してきたのである。それは何故なのか?
自民党長期政権の原因
自民党が長年日本の政権を担当してきた原因は、下記の自民党の政策と実績を国民が支持したからである。
① 自民党政権は戦後79年間の長きにわたり日本の平和と安全を守り維持してきた。
その最大の原因は日米安保体制と自衛隊の存在である。核兵器を含む世界一の軍事力と経済力を保有する米国との日米同盟関係の構築強化は明らかに自民党の実績であり、中国・ロシア・北朝鮮など他国からの侵略に対する強力な抑止力になっている。
その上に、25万人体制の世界有数の強靭な陸・海・空自衛隊が日本国民と日本の領土・領海・領空・排他的経済水域を守っている。戦後、反戦反米の日本社会党や日本共産党の反対にもかかわらず、自民党は憲法9条の下で、日米同盟関係と自衛隊を創設強化し日本の平和と安全を守ってきたのであり、外交安全保障政策における自民党政権の実績は極めて大きいと言えよう。
② 自民党政権は日本を世界第3位の経済大国にした。
1955~1973年に高度経済成長を成し遂げ、日本を世界第3位の経済大国にしたのは明らかに自民党政権の実績である。世界が驚嘆した日本の高度経済成長やアジアで初めての東京オリンピック開催、東海道新幹線開業、大阪万博開催などは、当時の反米左翼勢力である日本社会党や共産党ではその実現は到底不可能であったと言えよう。
のみならず、現在も日本の対外資産は1338兆円で対外純資産も418兆円であり32年連続世界1位である(2022年末財務省発表)。また、長年貿易経常収支黒字を続けてきたため日本の外貨準備高(2020年145兆円)も世界2位である。さらに、日本の失業率は毎年2パーセント台であり完全雇用に近い。
上記の輝かしい実績は金融政策や経済成長戦略を含め、自民党政権の経済財政金融政策が長期的に合理的で適正妥当であったからこそである。現在、日本経済の実力を反映する日経平均株価も1989年バブル期の史上最高値3万8915円に迫る3万5751円である(2024年1月26日)。
③ 自民党政権は年金・国民皆保険・介護保険・生活保護など福祉国家の基礎を構築した。
中国には国民皆保険も介護保険もなく年金も日本に比べて極めて貧弱である。現在日本の年金運用基金は219兆円に達しており(2023年)、年金をはじめ国民皆保険・介護保険・生活保護などの日本の社会保障制度は明らかに米国を超え西欧先進諸国にも勝るとも劣らぬ水準である。社会保障関係予算も国家予算全体の3割を超えている。
上記は明らかに自民党政権の実績であり、自民党政権は福祉国家の基礎を構築したと言えよう。
④ 自民党政権は長年科学技術の振興を図り、今回世界で5番目の月面着陸を成功させた。
自民党政権は長年「科学技術立国」を目指し科学技術の振興を図ってきた。多数の日本人ノーベル賞学者の輩出、情報通信・半導体・ロボット・宇宙開発・先端医療など先端科学技術産業の成長発展や、今回の世界5番目の月面着陸なども、科学技術振興政策の大きな実績であると言えよう。
⑤ 立憲民主党や共産党などの野党には国民が安心できる強靭な外交安全保障政策がなく、強力で長期的な経済成長戦略も欠如している。
立憲、共産には安心の防衛政策も強力な経済成長戦略もない
今回の「裏金事件」で万が一にも自民党が政権を失い、立憲民主党や共産党などの野党が政権を担当することになれば、上記①~④の自民党政権の実績が消滅する事態が懸念される。
とりわけ、①の外交安全保障政策については、ロシアによるウクライナ侵略、中国による台湾有事・尖閣有事の危険性など、安全保障環境の悪化にもかかわらず、立憲民主党や共産党などの野党には集団的自衛権反対・辺野古移設反対・反撃能力反対・日米安保破棄・自衛隊違憲解消など、国民が安心できる強靭な外交防衛政策がないため、日本の安全保障体制が不安定になり極めて危険である。
また、②の経済財政金融政策についても、上記の野党には合理的で適格な金融財政政策もなく、強力な長期経済成長戦略もないため、デフレ復活・経済停滞・株価暴落の懸念がある。
自民党は政治資金を透明化する「独立監査組織」を設立せよ
自民党は今回の事件を契機として、「政治と金」の問題につき国民が納得できる大改革を断行する必要がある。自民党は、自民党から独立し、自民党所属国会議員の政治資金の入出金を逐一監視監督する外部の公認会計士・税理士・弁護士・学者等で構成される「独立監査組織」を早急に設立すべきである。
具体的には、自民党所属の各国会議員は総務省に「政治資金収支報告書」を提出する場合には、事前に上記の専門家で構成される「独立監査組織」の監査承認を受けることを義務付ける。万一、違反行為があった場合は「除名」「離党勧告」「選挙公認不許可」などの厳格な罰則を設ける。そして、今後は政治資金の使途を含めて完全に透明化し、自民党に対する国民の強い政治不信を払拭すべきである。