バーレーンに敗戦寸前?アジアカップ日本代表は勝てるのか?

アジアカップに臨むサッカー日本代表、森保ジャパン、インドネシア代表に3-1で勝利し決勝トーナメント進出を決めましたね。

相手との力関係を考えれば、一部では無失点、大量得点での勝利を期待されていましたが、そこはアジア王者がかかった真剣勝負。プロレスかと思うような激しい闘志で挑まれる中では、そうそう無失点に抑えることも大量得点を奪うことも難しいものです。その中での決勝トーナメント進出、ストレートに称えたいと思います。

インドネシア代表戦の失点の意味とは?

とは言え、インドネシア代表戦、最後のロングスローからの1失点が悔やまれます。南野のクリアがまさか誰もケアしていないファーサイドに流れるとは…。

このような展開、日本代表は誰も予想していなかったようです。DFもGKもニアサイドとセンターをガッチリ押さえることに集中していました。

ただ、比較的若い日本のDFもGKもこのような敵側の「まさかのラッキー」で失点し得るという経験値を得たことがグループステージ3試合の収穫かもしれません。

3試合の全てで敵にとっての「まさかのラッキー」からゴールを献上してしまっていますが、この経験値がここからの決勝トーナメントという死闘に活かされることでしょう。日本代表の戦いぶりにますます注目したいと思います。

伏兵?バーレーン代表

さて、決勝トーナメント第1戦、大会ベスト8をかけての相手はバーレーン代表です。

韓国代表とヨルダン代表が首位争いを繰り広げていたグループの中で、最終節前までは3位だったバーレーン代表が首位で決勝トーナメントに進出したので少々驚かれているようです。実際、久保建英をはじめとした代表選手の多くも韓国代表かヨルダン代表と対戦するものと思っていたとも報じられています。

伏兵…のように思われていますが、果たしてそうでしょうか?応援する立場としては、日本代表の勝利を展望したいものですが、どのような戦い方や守り方で勝利できるか、過去の対戦を振り返りながら、バーレーン代表の特徴と攻略について考えてみたいと思います。

20年前の死闘、敗戦寸前だった日本代表

まず、バーレーン代表の特徴としては球際の強さと鋭いカウンター。典型的な中東のチームのように見られています。

日本代表のこれまでは8勝2分け2敗。一見すると、日本代表が圧勝しているように見えます。しかし、8勝の中身はほとんどが1点差という厳しいゲームばかりです。

特に2004年アジアカップ準決勝は「日本史上最大の死闘」と呼ぶ人もいる激しいゲームでした。このゲーム、開催地は中国。気候などの環境面ではやや日本代表に有利な状況の中でしたが、日本代表は前半を「0-1」とリードを許して終えています。

後半は「1-1」、「2-1」と一時は逆転。しかし、そこからバーレーン代表の猛反撃に耐えかねて2得点を奪われしまいます。そのまま、終了間際まで「2-3」とリードを許してしまったまま時間が経過します。

日本代表選手の執念のプレー!!

しかし、FW玉田圭司の執念のボール奪取に成功します。そこからパスを受けたのは身体の強さに定評のあるFW鈴木隆史。シュートには持ち込めませんでしたが、左サイドでボールを死守。ボールはやや低い位置に構えていたブラジルからの帰化選手、MF三都主アレサンドロに渡ります。

三都主はゴール前にクリアが難しいやや低めの浮き球を放り込みます。このボールが運命の分かれ道でした。バーレーンDFはクリアを狙ってボールに集中せざるを得ません。その隙に前線で張っていた長身DF中澤佑二が驚きのプレーを見せます。敵DFの背後から倒れ込むような姿勢でボールと敵DFの間に身体を差し込んだのです。

このプレー、一歩間違えば、中澤が敵DFに蹴り上げられるリスクもありました。間違いなく自身を危険に晒すプレーでした。しかし、これが低弾道のヘディングシュートになります。このプレーは敵GKも読んでいなかったようで、見事な同点ゴールとなります。中澤の勇気と執念が実った、まさに魂の一撃でした。

延長戦のチャンスを獲得した日本代表ですが、延長戦もまさに死闘でした。前半、玉田が1点を奪い先制に成功します。しかし、その後はバーレーン代表の猛攻を受けることになります。その中で、川口能活を中心に全員が身体を投げ出す必死のディフェンスで耐え抜きました。まさに魂で決勝戦進出を勝ち取った…と言えるような激しいゲームでした。

日本代表は20年前より圧倒的に強い?

さて、ここで当時と今を比べてみましょう。当時の日本代表のFIFAランキングは概ね30位以内でした。現在と比べるとかなり低いです。それでも韓国代表、サウジアラビア代表に次ぐ、アジア3位でもちろん優勝候補でした。一方のバーレーン代表は、当時は概ね60位前後。優勝候補と言うより健闘が期待される国でした。

今回はどうでしょうか?日本は2022ワールドカップ以降FIFAランキングを順調に上げてここしばらくは15位前後、アジア1位でバリバリの優勝候補です。対するバーレーン代表は86位(2024年1月現在)。ここだけに注目すると、20年前の死闘は日本がまだ弱く、当時のバーレーン代表が今より強かったから差がなかった…と見えるかもしれません。

しかし、開催地カタールは気候面でバーレーン代表に有利なだけでなく、距離的にも車なら3時間程度で駆けつけられます。多くのサポーターが日本代表をアウェーの雰囲気で包み込むことでしょう。

加えて、中東のチームは中東では実力以上の力を出すものです。バーレーン代表に有利な条件も揃っています。FIFAランク上位チームvs下位チームのゲーム…などと思うのは、20年前の死闘を踏まえれば大きな間違いと言えるでしょう。

今回も魂の勝負になる予感

日本代表が苦しめられることは間違いなく、20年前のように最後は魂の勝負になってくることでしょう。日本代表は組み合わせの関係で、決勝トーナメントで勝ち上がると試合間隔が短くなっています。しかし、ここで余力の温存…のようなことを考えてしまうと、敗れてしまったイラク代表戦の二の舞いになることでしょう。

では、今回のバーレーン代表を日本はどのように攻略して優勝を目指すべきなのでしょうか?バーレーン代表はほとんどの選手が国内でプレーしていますが、欧州チェコで活躍し、9番を背負う長身FWアブドゥラ・ユスフを擁しています。長身なのですが、快速も持ち合わせており裏抜けに優れた選手です。

日本代表DFのハイライン布陣の裏を狙ってくることでしょう。大きな身体がスピードに乗って攻め込んでくるのですから、対応するには勇気が必要かもしれません。また、日本代表の弱点である、ゴール前での長身FWのポストプレー対応の問題はすでにバレています。裏抜け勝負を仕掛けるふりをして、9番をターゲットに前線に放り込んでくるような仕掛けもあり得るかもしれません。いずれにしても20年前のような魂のこもったプレーが日本代表には必要になるでしょう。

また7番のUAEで活躍するアリ・マダンも要注意です。球離れの良く、ゲームメイクセンスにあふれています。また、巧みなドリブルを併せ持った選手です。この選手にサイドでボールを持たれてしまうと日本代表はサイドに枚数をかけて対応せざるを得ません。その隙に9番にセンターに向けてスピードに乗れるポジションとスペースを与えてしまうと、大ピンチに陥ります。

また、チャンスと観るや複数の選手が駆け上がり敵ゴール前で混戦を作ろうという姿勢も見えます。混戦の中では技術の差が出にくく、DFにとっては「事故」が起こりやすいもの…。アルゼンチン出身で選手時代はスペイン代表歴もあるフアン・アントニオ・ピッツィ監督の策士ぶりも要注意です。

一方でバーレーン代表が3点を奪われた韓国代表戦をみると攻略の糸口が見えてきます。韓国代表戦ではバーレーン代表の右サイド、日本代表から見たら左サイドが突破されやすいように見えました。日本代表は例えば三笘薫の突破力や中村敬斗のセンスで左サイドから攻略し、早々に複数点を上げて、試合を締められる選手を送り出して終わらせたいところです。そうすれば、次の戦いを見据えた余力の温存も検討できるでしょう。

さあ、決勝トーナメント1回戦、FIFAランキング通りの結果にするには一筋縄ではいかない熱いゲームになることがおわかりいただけたことでしょう。日本代表が魂の勝負をものにすることを祈って、私たちも魂で応援しましょう!!